経営者の子育て

スペースマーケット重松大輔さんの「子育てシェア」 あきらめずにまわりを巻き込む

2020.01.17

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野々山 幸
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球場、古民家、会議室、住宅など、さまざまなスペースを貸し借りできるレンタルスペースのマッチングプラットフォームである「スペースマーケット」。代表の重松大輔さんは、3児の父でもあります。多忙な毎日の中で、積極的に周囲の人々を巻き込む“子育てシェア”を行っているそうです。重松さん独自の子育て論に迫りました。

話を伺った人

重松大輔さん

株式会社スペースマーケット 代表取締役

(しげまつ・だいすけ) 1976年生まれ。早稲田大学法学部卒。2000年、NTT東日本入社。06年に当時従業員数が十数人だった株式会社フォトクリエイトに参画。14年1月、株式会社スペースマーケットを設立。空いているスペースを貸し借りできる Webプラットフォームとして、1万2000以上のスペースを取り扱う。19年12月に東証マザーズ上場。10歳(小4)女児、7歳(小1)男児、5歳(年長)男児の3児の父。
株式会社スペースマーケットのHPは https://www.spacemarket.com/

友だちを預かってお泊まりも。近所のパパ、ママと積極的に協力

――3人の子どもを子育て中ということで、毎日とても忙しいと思います。現在、重松さんが担当している育児は?

我が家は妻も経営者で、ベンチャーキャピタリストとして忙しくしているので、子育ての分担は徹底しています。

私のメインは朝、子どもを保育園に送って行くこと。週1〜2回はお迎えにも行きます。週末にはまだ手がかかる長男、次男と遊んだり、習い事に連れて行ったりと一緒に過ごす時間を大事にしています。

毎日、朝の時間は本当にバタバタで、特に下の2人が2歳差の男の子なので、けんかばっかりして大変なんです(笑)。昨年から、真ん中の子が小学生になったことで少し状況が変わり、小4の長女と一緒に朝早く家を出るようになったんですね。小学生の2人は、母親と一緒に家を出て、近所の友だちと学校に行ってくれるので、かなり楽になりました。

――朝の忙しい時間帯に子どもがグズる……という状況もあるかと思いますが、どのように対応していますか?

一番下も5歳になったので、イヤイヤとグズる状況は減ってきてはいますね。それでもまだスムーズにいかないことはあって、そういうときは少し時間をかけて、できるだけ息子のやりたいようにやらせます。時間に余裕がないとイライラしてしまうので、タイムマネジメントは大事。私は始業を10時に設定して朝を遅めにしているので、子どもときちんと向き合うゆとりを意識的に作ろうと考えています。

あとは、家事も子育ても出せるところはどんどんアウトソースして、まわりを巻き込む。夫婦だけで抱え込まずに子育てをシェアすることで、心身ともに負担が減ると思います。

――具体的にはどんな「子育てシェア」をしているのでしょうか?

妻の両親が近くに住んでいるので、共働き夫婦としては恵まれていると思うのですが、遠慮なくお世話になっています。平日の子どもたちの習い事の送り迎えや、食事作りも協力してもらっています。

それ以外にも、シルバー人材センターでお願いをして、週2回、近所の方に掃除をしてもらっています。夫婦だけだと、朝は慌ただしく、家が荒れた状態のまま出かけることが多いんですね。掃除を外注すると、家に帰ったときにきれいになっているので気持ちもいいですし、かなり助かります。

また、近所に住んでいる同じ保育園のパパ、ママともシェアしていますね。お互いに子どもを預け合ったり、登園時に雨が降っているときは「車を出すから乗って行きなよ」と声をかけたり。朝の10分、20分はとても大きいですから、協力しています。

スペースマーケット重松大輔さん

――都心に住んでいると、近隣との関わりがなく、母親が一人で抱え込んで「ワンオペ育児」になることが多い中、ご近所さんとも積極的にシェアされているのですね。

はい。すごく大切だと思いますね。保育園の同じクラスの保護者でLINEグループを作って、「来週こういう行事があって、持ち物はこれですよ」などと、それぞれに仕入れた情報を共有しています。先輩パパ、ママには上の子どものときのケースを教えてもらえて、勉強にもなる。夫婦や、ましてや母親だけで抱え込むのはとんでもなく過酷なので、身近なパパ、ママとのシェアはぜひおすすめしたいです。

ときには、子どもだけを預かってお泊まり会をすることもあるんですよ。うちでまとめて面倒を見れば、子どもたちは友だちとたくさん遊べて楽しいし、友だちのパパ、ママにとっては休息になりますよね。うちも困ったときは頼るし、積極的に交流することで、各家庭の負担は圧倒的に軽くなると思います。

仕事も家庭も諦めないで済むことが、子育てシェアのメリット

――「子育てシェア」の考え方は最初から持っていたのでしょうか? それとも何かきっかけが?

妻も経営者なので、第1子の産後すぐから、夫婦の分担はもちろん、活用できるものは活用しようと思っていました。

私自身、両親が共働きで母親が教師として定年まで働いていたので、共働きには抵抗がなく、むしろ、両親ともに働いているのが普通だと思っていました。ただ、当時は特に意識してはいなかったのですが、共働きで、家事も子育ても夫婦でやろうとする親の様子を見ていて、限界はあるな、と。今はいろいろといいサービスがあるし、家電などのテクノロジーも発達して家事と子育てはいくらでも時短、外注ができる。それを使わない手はないですよね。

――改めて、子育てを夫婦で抱え込まず、シェアすることのメリットとは?

私が最も避けたいのは、「忙しいから」「できないから」といって諦めること。子育てが立ち行かなくなって仕事を辞める、なんて本当にもったいないと思いますし、大きな社会的損失です。まわりの助けを借りれば、諦めなくても済む。これが一番のメリットです。

また、これからはどんどん人口が減少して、共働きがもっと増えていくと思います。二馬力で家計を支えることがさらに主流となる。共働きのほうがお互いのリスクヘッジにもなるし、家庭運営としても安心です。今後はより共働きを前提とした社会設計をする必要性が出てくると思うので、そういった社会は、子育てシェアをしていくことで、実現できると考えています。

――子育てを通して、重松さん自身の仕事に影響することはありますか?

やはり、子育て世代の課題が見えてくることに尽きると思います。レストランに子どもを連れて行っても、騒ぐかもしれないと思うと親がゆっくりできない。じゃあ、子育て世代が土日に使いやすいレンタルスペースは提供できないかな、とアイデアのきっかけになります。

スペースマーケット

最近は、園児がいない週末に、スペースをレンタルしてくれる保育園や幼稚園もあるんですよ。子どもが一緒でも安心だし、遊具があって遊べるので、パパ、ママもゆっくり楽しめます。こんな子育て世代が助かる空間は、今後もどんどん提供していきたいと思っています。

掃除をしたらお小遣い。「価値を生み出したら対価がある」感覚を身につけてほしい

――子育てする上で、重松さんが大切にしていることはありますか?

両親の仕事の話は、できる限り詳しくするようにしています。レンタルスペースを貸し出すサービスをしているんだということを伝えています。妻も、ベンチャーキャピタリストなので、株式投資のことを話したりしていますね。こういう会社に投資をして、今その会社はこうなっているんだよね、と。ここまでは理解できないかなとは思わず、できるだけかみ砕いて伝えたいと思っています。

また、夫婦ともに経営者ということもあり、「価値を生み出したらそこに対価がある」ことは徹底して教えています。よくわからないのにお金をあげる、ということは一切していないです。お小遣いも決まった金額ではなく、お手伝いをしたら、掃除をしたらなど、何か価値を生み出したら渡しています。

我が家には「ステージの日」というものがあり、子どもたちが企画をして、歌ったり踊ったりしてみせてくれるのですが、これもエンターテインメントという一つの価値。見せてもらう私たちは、観客として対価を払っています。

――ユニークな家庭内イベントですね。中学受験など教育面ではお子さんの将来について、どのように考えていますか?

スペースマーケット重松大輔さん

中学受験はチャレンジさせたいと考えています。私は地方の公立校出身なので、中学受験がどういうものなのかぜひ経験してみたい。目標を立てて子どもと一緒にそこを目指す、ということに興味がありますね。ただ、我が家は、長女と長男が小学校受験もしていて、勉強させるのが結構大変だった苦い思い出があります……。まだどうなるかわからないのですが、少し不安もありますね。

小4の娘は、早く自立したいと言って、全寮制の私立学校を希望しているんです。まだ子どもっぽいところもあるのですが、娘なりに考えているのだなと感じるので、尊重したいです。

将来は、やはりグローバルな経験は積んでほしいと思っています。英語、中国語が話せると武器になると思いますし、海外を見据えて活躍してほしい。早い段階で、留学などで海外に行くことも、視野に入れたいと思っています。

(撮影:辰根東醐 編集:阿部綾奈/ノオト)

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