中学入試本番 座談会「我が家はこうして乗り切った!」

中学入試の合格保護者が語る!毎日がバトル、叱らずに過ごすには?

2020.01.17

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加賀 直樹
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葉山 梢
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中学入試の心構えや当日に向けたヒントを、昨年経験した現中1生の保護者が語り合った座談会。登壇者の皆さんと中学受験カウンセラーの安浪京子さんに、これから受験する親子に向けたアドバイスをいただきました。
※この座談会は、読者ら約100人を招き、朝日小学生新聞の協力で2019年11月23日に都内で実施しました。(コーディネーター/柏木友紀・朝日新聞EduA編集長)

登壇者のプロフィル
(1)子どもの性別(2)進学先(3)実際に受けた学校数

Aさん(母)=(1)男子(2)慶応義塾普通部(3)6校
Bさん(父)=(1)男子(2)城北(3)7校
Cさん(母)=(1)女子(2)豊島岡女子(3)3校
Dさん(母)=(1)女子(2)渋谷教育学園幕張(3)3校
Eさん(母)=(1)男子(2)海城(3)4校

受験親子へのアドバイス

子どもとの適度な距離感が大事

Dさん 「とにかく親は我慢をすること」と言われていたので、だいぶ我慢をしたつもりだが、なかなか実践できないんですよね。どうしても口を出したくなる。何か言う前に別の部屋に行って、一呼吸置けば言わなくて済む、とも言われたが、別の部屋に行く前にもう言葉が出てしまっている。今だから言えるが、算数は偏差値40からのスタートで、あと1年しかないという遅い時期からのスタートだった。娘が自分の成績の状況をあまり受け止めずにいる姿を見て、何度厳しい言葉を浴びせたか……。「これはいけないな」と。娘も私もイライラして、結果、2人とも疲れてしまうということが何度かあったので、もう物理的に離れることにした。幸い、私の職場が自宅から車で約10分のところにあるので、娘が家にいる休みの日は、朝食を一緒に食べたら私は出かけ、今度は昼食を作りに帰って一緒に食べ、また職場へ。幸いなことに、小3の息子も、スポーツに専念していて、夫と遠征で土日はほぼ試合に出かけてしまう。娘が一人でしっかりと勉強しているのか気にはなったが、そこはあえて何も言わずに娘に任せることにした。結果的に、夕方に帰ると、娘も「あ、ママ、おかえり」と笑顔で迎えてくれて、「ごはん何?」って、スムーズな会話ができる。お互いに優しくいられる状況をなるべくつくるということに徹した。結果、自己管理能力も高くなったので一石二鳥。

プレーヤーは本人。どうしても管理したくなってしまうが、間違っても親がプレーヤーにならないように、ということだけは、もっと早くから気をつけておけばよかったと思っている。

中学入試本番「我が家はこうして乗り切った!」
撮影/北村玲奈

共に寄り添い、一緒に学ぶ姿勢で

Aさん 10月頃から、本当にスランプに陥った時期があった。それまでは「このまま良い感じでいけるな」と思っていたら、夏休み明けから「あれれ?」という感じで、特に国語が一気にガタ落ち。それが3カ月ほど続き、親も子も、焦って落ち込む時期を過ごした。今思えば、それを乗り越えることができたことが精神力を鍛える機会になったと思う。「気持ちだけは負けないようにしよう」と子どもと話し、強い攻め、絶対に後退しないという気持ちを親子で身につけられた気がする。本番は精神的にすごく負担がかかってくる。力があっても、うまくいかないこともあると事前に聞いていたので、不安だった。それでも、逆境に対する抵抗力をつけることができたと思う。あと、「親はこうであるべきだ」とか、「こういうことを言ってはいけない」とかマニュアルにあるが、そうやって追い込むとストレスがたまり、裏目に出てしまうことがあった。「そのままでいいや」と、どこか吹っ切れるときもあっていい。自分をあまり追い込まないで過ごしていこうと思った。子どもと一緒に、「共に戦う戦友」みたいな感じで対応し、同志のような気持ちで、「一緒にやろうね」「一緒に取り組んでいこうね」と、「一緒に」という言葉を多く使った気がする。子どもも、その言葉にどこか安心感を覚えてくれたのではないかと振り返っている。

親子の価値観のベクトルを合わせること

Bさん 親子の価値観のベクトルを合わせていくこと、これに尽きるのではないか。学校選びには様々な選択肢があるが、両親の価値観と子どもの価値観を合わせて、納得して受験をさせた。

「塾を信じる」ことも大事だと思う。私のところはお姉ちゃんも長男も同じ塾で、志望校の対策はしっかりしていた。偏差値が同じでも、受験校によって問題の内容や傾向はまったく違う。塾はこの傾向と対策を熟知していて、第1志望が不合格になった後、第2志望以降の直前に、「ここを受けるんだったら、算数はこういうのが出題されるから来なさい」と呼び出してくれて、先生が一対一で教えてくれた。それに似た問題が出て合格したということがあった。直前に教わった傾向と対策は非常に効果があったと思っている。息子の場合、成績は11月までは少しずつ上がっていったのだが、12月が大ピンチ。精神的にも、偏差値的にも、非常に厳しくて、家庭教師をつけるかという話にも一瞬なったが、塾の先生につきっきりで教えてもらって、結果的に成果を残せた。最後の最後、2月4日まで受けたが、その直前も全部、塾に行って、翌日の試験対策をしてもらったことは感謝している。皆さんも、塾と心から話をして、コミュニケーションを取っていけば良いのではないかと思う。私自身は、息子の偏差値と、塾の偏差値表を見続けた。移動中なども必ず見て、挑戦できそうな学校を常に考え続けた。

親自身が穏やかでいることが大事

Eさん 実際は毎日バトルだった。私が問題集を投げ、机に穴が開いたこともあった。息子が海城の問題集をゴミ箱に投げたこともあった。私自身が家を出たことさえも。夜になると、生まれてたった10年くらいしか経っていない子に、なんて罵声を浴びせてしまったんだろう、と反省。でも次の朝、また同じことが繰り返されていた。自分は田舎育ちで、中学受験も御三家も知らなかった。夫も同様で、不安ばかり。ある日、思わず本人に「お母さん、こんなのでいいのかな? あなたの第1志望に届くんだろうか」と話したときに、「僕が寝た後にママが僕のためにやってくれていることを知っているから、ママは今のままでいい。今のままで大丈夫」って逆に励まされてしまって。それを聞き、なんで私はこの子に「そのままで大丈夫だ」って言えないんだろうって……。

受験の中で、信頼感があるうえでの怒りは、あまり押さえつけると、いつか爆発するのでよくないと思う。その代わりに、息子以外のことで心がいらついたり波風が立ったりすることは極力ないように心がけてきた。受験ママ友に包み隠さず話したり、情報交換をしたり。LINE交換をして、「この子たちも頑張っている、あの人たちも頑張っている、だから私も頑張ろう」と。リフレッシュして、塾や学校から帰ってきたときに笑顔で穏やかに迎えられるよう、それを心がけてきた。

中学入試本番「我が家はこうして乗り切った!」
撮影/北村玲奈

成績が悪いと叱っても意味はない

Cさん うちもバトル続きだった。夫が怒って塾のテキストを全部捨てたことがあった。娘は転校した5年生の1年間が一番だらけた時期。テストを受けると、非常に波が出てしまった。どうしても一喜一憂するのが親というもの。塾は「絶対しないで」と言うのですが、「なかなかできないよねー」というのが、塾のお母さん友達とのいつもの会話だった。ただ、点数がなぜ悪かったかを一番わかっているのは本人。成績が悪いと叱っても意味はありません。

我が家で気をつけたことは、本番の2月に気力と学力のピークを迎えること。あえて11月までは「勉強しろ」となるべく言わないようにしていた。11月に入った頃から、徐々に彼女の表情が変わり、本気モードになってきたのがわかった。1月の冬休み明けにクラスの友達に会ったら、「顔が変わった」と言われたという。言われてみると、確かに8月の頃は、「だってまだ夏でしょう。あとまだ半年もあるじゃない」なんて言っていたのが、年明けからは緊張感がこちらにまで伝わってくるほど。気力と学力、体力のピークを2月に持っていくという意味では、早くから追い詰めないことが大切かなと感じている。

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