国語のチカラ ~読解力アップの教科書~

入試期間中、失敗を引きずらず前向きに 「大逆転」につながった保護者の姿勢

2020.01.23

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南雲 ゆりか
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東京、神奈川の受験生は2月1日以降が入試の「本番」という人も多いかもしれません。難関校の試験が集中する2月1日に午前・午後と2校の入試をかけ持ちしたり、2日、3日、4日……と毎日受験が続いたりする人もいることでしょう。その間、合格発表もあり、喜び、不安、悔しさなどで気持ちが乱高下して、心身ともに目まぐるしい数日間となります。11~12歳の子どもにとって少しハードな面もありますが、前向きな一歩につながる受験であって欲しいと思います。今回は、入試期間中の試練を乗り越えた教え子たちのエピソードをご紹介します。

国語の試験の手応えは芳しくなかったけれど合格――A子さん

A子さんは2月1日の受験校で確実に合格を取り、2日からチャレンジ校を受ける、という受験計画を立てていました。2月1日の14時頃、A子さんのお母さんから電話が入りました。本人にかわると、「国語が難しくてできませんでした。たぶん60点も取れていません」としゃくり上げています。

その学校は、偏差値としては中堅レベルですが、国語の試験は毎年、骨のある問題を出題します。「大丈夫。この学校の国語は難しいから60点取れなくても、合格ラインに届くよ」と話して、状況をたずねました。

どうやら素材文が難しくて十分に理解できず、正解を出せた手応えが得られなかったようです。そうであれば、ほかの受験生も同じように苦戦していて、平均点も高くないはず。そのことを伝えつつ、「A子さんのいつもの学力から考えて、平均を下回ることはまずないから心配する必要はないよ」と話しました。ようやくA子さんは泣きやみ、「明日からの入試を頑張ります」と言って電話を終えました。

翌日の昼過ぎ、A子さんから「合格していました!」と連絡が入りました。あきらめかけていた合格だったので本当にうれしそうでした。さらに、そのあとに受けたチャレンジ校も、勢いに乗って合格を果たしました。

入試期間中は、何よりも、マイナスな気持ちを引きずらないようにすることが大切です。

入試の合否は相対的に決まるもの。A子さんのように、本人がダメだと感じていても、実は合格ゾーンに入っていることがあります。お子さんが落ち込んでいても、可能性があることを伝えて、次の試験に向けて前向きになれるようサポートしてあげてください。

一方、きちんと解けたはずなのに不合格になるケースもあるでしょう。どの受験生もよくできたため、僅差で敗れたということです。そうした場合も、「試験の受け方はよかったはずだから、きっと惜しいところで届かなかっただけだよ。次に頑張ろうね」と励ましてあげるとよいと思います。

第2志望校の不合格も冷静に受け止め、第1志望の合格を勝ち取った――Bくん

次は、1日の第2志望校が不合格となりながら、大逆転を果たした男子のエピソードです。

Bくんは、難関校に多数の合格者を出す大手塾の一番上のクラスに在籍していました。彼の読書レベルは小学生離れしていました。4年生のときにはすでに新書を読み、語彙も豊か、文章を書く力も抜群でした。最難関男子中学校の国語の入試問題も、つまずくことなく解くことができていました。1月の「前哨戦」では難関校を総なめにしていましたし、2月もこのまま全勝だろうと思われました。

それが、2月1日の入試でまさかの不合格となったのです。他教科のテスト中に、ある問題を突き詰めて悩んでしまい、時間配分が崩れてしまったようでした。その結果には驚きましたが、電話口のお母さんは、いつもと少しも変わらない明るい声で「やってしまいました。仕方ないですね、ふふふ」とおっしゃっていました。もちろんお母さんも残念な気持ちがあったと思いますが、「試験とはこういうもの」とどこか割り切ったとらえ方をされているようでした。

「Bくんの様子はどうですか?」とたずねると、「失敗したという自覚があったので、『ああやっぱり』という受け止め方をしています」とのこと。想定外の事態にこれほど落ち着いているご家庭は初めてでした。お母さんは、「先生、合格のお知らせができなくてごめんなさい」などと私を気遣ってくださり、「いえ、謝らなければいけないのは、私の方で……」と、こちらが恐縮する始末でした。

1日の受験の失敗にもさほど動揺しなかったBくん。結局、さらなる難関とされる3日に受けた国立中に見事に合格しました。第1志望の学校です。もともと高い学力があったとはいえ、まだ小学生ですから、1日校の失敗を引きずっていたら、3日校も危なかったかもしれません。不測の事態にも動じない、穏やかなお母さんの姿勢が、Bくんを支えたのだと思います。

受験生本人もさることながら、見守るおうちの方の心身の負担も相当なものがあります。常に強い気持ちを持ち続けられればいいでしょうが、人間ですからそうもいきませんね。もし、ご自身がつらいときには、お子さんが試験中でいないときに、塾の先生に相談するなどして発散するといいでしょう。そして、お子さんの前でいつも通りにふるまうことができれば、お子さんの安心感につながっていくことでしょう。

常に前を向いて頑張って!

AさんやBくんのエピソードのほかにも、試験当日に発熱した、試験会場に向かう途中でおう吐してしまった、受験票の入ったリュックを電車の網棚に忘れてきたなど、大小さまざまなトラブルであわてた受験生たちを目にしてきました。それでもみんな合格を勝ち取っています。困ったときは中学校の先生に相談すれば必ず助けてくださいます。先生方のあたたかい対応に力をもらって頑張れたという子もいました。

入試期間中は、「ああすればよかった」「もっとこうしておけばよかった」と思うことがたくさん出てきます。でも、それは子どもには言わないようにしてください。今起きていることを冷静に受け止めて、次にできることを考え、助けも借りながら最善を尽くしましょう。

最終的に、「いろいろあったけれど、親子でいい思い出ができた」「成長できた」と喜び合えるような入試となりますように、心より応援しております。

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