連載・親子で「考える」を動かそう! ”私”を伝える編

「みんなで共有できるのが『知識』。それを使う“私”はそれぞれ。」 大妻多摩中学校・社会の入試問題から

2020.01.09

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日能研
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キミってどんな人? 考えを聞かせて?――。中学入試問題は、それぞれの“私”に問いかけてきます。知識だけでなく、身の回りや“私自身”とつなげて考えなければなりません。あらかじめ準備できるような「正解」はありません。子どもたちの数だけ答えがあるはずです。親子でアタマとココロを使って、「考える」を動かしてみませんか?

(問題文の一部を変えている場合があります)


”私”を伝える編の1回目は大妻多摩中学校の社会の問題です。

 大妻多摩中学校 2019年/社会

大妻多摩1

上は山形の地方版ナンバープレートです。これを参考に九州にある県のナンバープレートを作るとしたら、どのようにしますか。

下の①の( )に県名を、そのまわりにデザインを自由に記入しなさい。なお、デザインは代表的な農産物をヒントに考え、その農産物の名称も②に書きなさい。

大妻多摩2

日能研の解説

それを学んだ人ならば誰もが共有できる「知識」。みんなが持っている同じ「知識」だから、それを使うときにこそ、それぞれの“私”があらわれます。また、学んで獲得した知識の中から、どれを選び、それをどのように使うか……というときも“私”はそれぞれ。相手に“私”を伝えるために考えて、決めて、表現するからです。

問う方も、「知識」を持っているか、持っていないかを問うだけの従来型のテストではなく、それぞれの“私”との出会いを求めています。中学入試問題の魅力の大きなひとつは、そこにあります。子どもの数だけ“私”が存在することは自明なのですから。

知識の獲得量ばかりを競う時代は過ぎました。「記憶する」ことは、手にしているスマートフォンに委ねていますよね。いまの大人たち(=昔の子どもたち)も、電話番号を覚えなくなりましたね。PCやスマホの膨大なメモリーの容量は、もう人の及ばない領域です。

だからこそ、人間らしく「おもしろい!」「楽しい!」と感じながら、それぞれの“私”が考えたり、決めたりしながら、“私”を伝える、伝えたくなる――。新シリーズ〈 “私”を伝える編〉ではそんな問題を紹介していきます。

さあ、始めましょう。

各都道府県でさかんにつくられている農産物について問う入試問題は、毎年数多くの学校でみられます。ここで紹介する入試問題は、九州地方にある県を一つ選び、その県の代表的な農産物を入れながら、図柄入りのナンバープレートをデザインするものです。

文字ではなく、絵や図などを使ってデザインするという点が、これまでの入試問題であまり見られないものです。

さらに、子どもたちの思考や発想が広がりやすくなるような条件(「九州地方の県」・「代表的な農産物」という条件)が提示されており、思考錯誤しながら取り組む中で、学んだり表現したりする楽しさを実感できる問題になっています。

また、実際の解答欄も「ナンバープレートを模した枠内にデザインする」といった設定ですので、子どもたちの知的好奇心が刺激される問題であるとも感じます。

さて。
問題の条件にあるように、まず九州地方にある八つの県(福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島・沖縄)から一つの県を選びます。その上で、選んだ県の代表的な農産物を、解答用紙の枠内に自由にデザインします。こうしたステップをふむためには、九州地方の八つの県でどのような農産物がさかんにつくられているのか(代表的な農産物なのか)を思い起こしながら取り組む必要があります。

九州地方すべての県についての代表的な農産物がわからなくても、県と農産物の結びつきを一つでも知っていて、実物をイメージすることができれば、ナンバープレートをデザインすることができます。また、選んだ県のものであれば、複数の農産物をデザインに入れてもよいでしょう。

さあ、親子で「考える」を存分に動かして、豊かに “私”を伝えてください。同じ答えになったとしても、そこには親子それぞれの“私”がいるはずです。

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