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長男の教育資金が不足 孫への贈与、親にどう切り出す? 非課税になる仕組みは?

2019.12.19

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小山 信康
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子育て世代のお金の悩みに、子育て世代のファイナンシャルプランナーがお答えするコラムです。

Q. 長男が留学を希望 親に教育資金の援助を頼みたいが

《相談例》

私立高校2年の長男が、「1年間、語学留学したい。さらにできれば、海外の大学に進学したい」と言い出しました。かなえてやりたいのはやまやまですが、私立なので高校の学費捻出も大変です。 この先、長男に準備できるのは300万円が限度。長女(中2)の高校進学も重なり、海外留学・進学の費用には到底足りません。
そう悩んでいたところ、知人が「祖父母から孫へ、教育資金を非課税で贈与できる仕組みがある」と教えてくれました。 実家はある程度の資産家なので、非課税であれば相談してみようかと思っていますが、具体的にはどのような制度なのでしょうか? また、利用する際の注意点やメリット・デメリットなどはありますか?

《相談者はこんな人》

兵庫県在住、会社員50歳。家族は専業主婦の妻(45歳)、私立高校2年の長男(17歳)と公立中学2年の長女(14歳)。持ち家。
収入=年収約800万円、 支出=年間約600万円。
貯蓄/運用=教育資金(長男:学資保険300万円、長女:定期預金150万円)
相談者の父親は80歳、母親は75歳。自営業、持ち家。実家には、妹(40歳)が小学3年の長男と共に同居している。

A. 教育資金の一括贈与の非課税特例 対象や注意点

教育資金を非課税で贈与できる仕組み、とは?

本来、1年間に合計110万円超の資産の贈与が行われた場合は贈与税の課税対象になります。祖父母から孫への教育資金も同様です。
お知り合いが言う「教育資金を非課税で贈与できる仕組み」とは、2013年度に始まった「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の特例」のことです。

解説

30歳未満の人が、教育資金に充てるため、金融機関等との教育資金管理契約にもとづいて祖父母などの直系尊属から贈与を受け、金融機関経由で教育資金非課税申告書を提出すると、1500万円まで贈与税が非課税になる制度です。主に銀行や信託銀行、証券会社が扱っています。2019年度税制改正で制度の一部に変更があり、申し込み期限が2021年3月末まで延長されました

非課税となる教育資金には、主に入学金や授業料、学用品の購入費や給食費など学校等に対して直接支払うものが該当します。学習塾や習い事に充てることも可能ですが、非課税対象となるのは500万円までになります。

海外の大学に支払う入学金や授業料等も教育資金として認められます。留学のための渡航費や教科書などの教材費も該当します。ただ、教育資金として認められるかどうかの判定基準は複雑です。例えば、国内、国外ともに大学等に支払う寮費は対象となりますが、アパートを借りて生活する場合の居住滞在費は原則として対象外です。 

教育資金として使い切らないと贈与税の対象になる

さて、この制度を祖父母が利用する場合、大まかな流れは下記のようになります。

(1)  金融機関に教育資金口座を開設する。
(2)  保護者または孫本人が、教育費用を教育資金口座から引き出す。領収書等を金融機関に提出する。
(3)  孫が30歳に達した時点で残高(管理残額)がある場合、その残高が贈与税の課税対象となる(在学中であれば40歳まで延長できる)。
(4)  信託期間中に祖父母が死亡した場合、孫が23歳未満または在学中の場合等を除いて、残高は相続税の課税対象となる。

ここで注意したいのが、(3)と(4)の部分です。教育資金として使い切らなかった分は贈与税の課税対象となってしまうからです。今回のご相談のように、留学などで多額の教育資金がすぐに必要となる場合は1500万円の非課税枠をフルに活用することも考えられますが、後から追加することもできるので、あえて贈与額を少なめにしておくことも考えられます。

また、教育資金として引き出す前に祖父母がお亡くなりになると、その時のお子さんの年齢によっては残高が相続税の課税対象となってしまいます。制度を利用するなら祖父母の健康状態も確認しておきましょう。

教育資金とはいえ、お金にかかわる相談ごとはとてもデリケートな問題です。相談者様の場合、ご実家に妹さんが同居していらっしゃるということなので、その場で、あるいは相続発生時に異論が出るケースも想定されます。ご両親に相談する前に、妹さんにも教育資金の一括贈与の非課税特例について説明し、3人の孫が同時に同額を利用するという方法も考えられます。

 

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