ゼロからわかる! 2020大学入試改革 おさえておきたいポイントを解説

大学入試改革 国語・数学の記述式、見送り濃厚 そもそも何が問題?

2019.12.06

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上野 創
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増谷 文生
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2020年度から始まる大学入学共通テストで導入予定の国語と数学の記述式問題が、実施されない可能性が高くなってきました。「質の高い採点者の確保」「自己採点の難しさ」という受験生の合否に関わる重大な問題が指摘されながら、解決する道筋が見えていないのが理由です。

記述式問題は、「思考力・判断力・表現力」を測るとして、2017年に導入が決まりました。初年度となる21年1月のテストでは、マークシート方式の問題のほかに、国語と数学で3問ずつの記述式問題が出題される予定です。

記述式問題の場合、マークシート方式の解答とは異なり、機械では採点できないので、人手が必要です。一定の期間内に、約50万人分の受験生の答案を採点するには、8千~1万人の採点者を確保しなくてはなりません。採点者の質が低いと判断にばらつきが出てしまい、入試の公正さがゆがめられかねません。

採点業務を落札したベネッセコーポレーションの関連会社は、これまでの実績や「3人以上で採点する」といった対応策を示し、「公平・公正な入試を実現するため最善を尽くす」としています。ただ、学生などのアルバイトも採点する可能性が高く、質を不安視する声が上がっています。

特に国語は、正答の条件をどのくらい満たすかを1問ずつ3段階で評価したうえで、3問の結果を合わせて「A」~「E」の5段階の総合評価を下すという仕組みのため、1万人も採点者がいると採点にズレが出ると心配されているのです。

声をあげる人たち
大学入試改革の中止を求め、文科省前で声を上げる人たち=2019年9月13日

もう一つの「自己採点の難しさ」も重大な問題です。

例えば自己採点で「一部正答」としたものが、実際には大学入試センターによって「完全正答」と判断されたり、逆に、「完全正答」と自己採点したものが「一部正答」とされてしまったりという「不一致」が起きることが、17・18年の試行調査で明らかになりました。

受験生は共通テストの自己採点をもとに、国公立大の出願先を決めます。不一致が起きることを考え、不安になって実力より水準を下げて出願する受験生が出てくるのではないかと心配されています。

逆に、自己採点より大学入試センターの採点結果が低かった場合、2次試験を受けられずに門前払いされる可能性もあります。

11月6日には東京都内の高校生らが、記述式導入の中止を求める約4万2千人分の署名を文部科学省に提出。同月中旬に朝日新聞社が行った全国世論調査(電話)でも、国語と数学の記述式問題の導入について「反対」は44%で、「賛成」の35%を上回りました。

世論調査の結果
朝日新聞社が11月中旬に実施した世論調査の結果

こうした声に対して、大学入試センターは自己採点のやり方を分かりやすく示す冊子を受験生や高校に配って不一致率を下げる方針などを示しています。文科省は、国公立大の2段階選抜で、記述式の成績を判断材料にしない、ということも検討。記述式導入の方針は変えない構えでした。

しかし、12月5日には公明党の文科部会が「現時点では問題点の解消のめどが立っていない」とし、20年度の導入について「見直し・延期」を検討するよう要望。自民党の文科部会でも「改善や見直しの判断を」という声が上がり、延期の可能性が高まっています。政府は両党と調整をしたうえで、結論を出す見通しです。

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