連載・親子で「考える」を動かそう! SDGs編

「課題をみつける。設定する。自分ごとにしていく」 学習院女子中等科・社会の入試問題から

2019.11.21

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日能研
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中学入試ではときに、大きく深いテーマを扱った問題が出ます。SDGsSDGsSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年9月の国連サミットで採択された。スローガンは「誰一人置き去りにしない」。30年までの達成を目指し、17分野の目標(ゴール)と169の具体的な目標(ターゲット)を設けている。 20年度から順次、実施される新学習指導要領でも、児童・生徒が他者を尊重し、多様な人々と協働しながら「持続可能な社会の創り手」となることを求めている。と深いつながりを持つものも少なくありません。SDGs編では、関連する中学入試問題を紹介します。あらかじめ準備できるような模範的な「正解」はありません。世界の課題を「自分ごと」として考える人になってほしい――。そんな出題校の思いが込められている入試問題に触れて、親子でアタマとココロを使い、「考える」を動かしてみませんか?(問題文の一部を変えている場合があります)

8回目は学習院女子中等科の社会の問題です。

 学習院女子中等科 2019年/社会

下の表は日本に居住している外国人(在留外国人)の数を都道府県別にまとめたものである。この表からわかる社会問題についてあなたの考えを述べなさい。

T日能研の表(8)

日能研の解説

近年、日本を訪れる外国人旅行者は増え続けています。また、出入国管理法の改正によって、外国人労働者の受け入れ拡大も決まりました。このような中で、2019年の中学入試(19年度新入生の入試)でも、外国人旅行者や外国人労働者について取り上げた入試問題が数多く見られました。

この入試問題では、都道府県別の在留外国人の人数が書かれた表から、社会問題を読み取り、自分の考えを記述することが求められています。表のどの部分に目を向けるかによって、見えてくる社会問題も異なってきます。子どもたちは、新聞やニュースなどで見聞きしたこと、身のまわりのできごとなどをもとに、着目する部分を自分で探し、読み取って、自分なりの考えを記述していくのです。

外国人とのやり取りが増えていく中で、文化や習慣のちがいを感じたり、これまで以上にいろいろな問題が起きたりすることも考えられます。そんなときには、起きていることを客観的にふまえて、問題を把握しながら、さまざまな視点を持って自分なりの解決策を出していくことが求められるでしょう。相手に自分の考えを伝える力も必要になってくるでしょう。

状況や起きていることから、課題をみつける、抽出する、設定する。その課題の解決に向けて、自分で考え、自分ごととして、自分なりの解決策を出していく――。この入試問題は、まさにそんな「次の時代に求められる力」を試しているのでしょう。

そして、子どもたち(未来の大人たち)には、その「プロセス」の中で学び、自分自身で「自分の学び」を育てていってほしいですね。

さて。この資料から、どんな社会問題が見えてくるでしょう? たとえば、大都市と過疎地域での職業の違い(それぞれの外国人がどんな職業を担っているのか、その理由はなぜか)に目を向けるなら、SDGs(持続可能な開発目標)の目標8「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい雇用)を推進する」につながります。また、都道府県人口の中の外国人の割合に目を向けるなら、目標11「都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」に関連します。このように、資料のどこに目を向けるかによって、SDGsの17の目標とのさまざまなつながりが見えてきます。

表を見ると、人口の多い3大都市圏に外国人が多くいることがわかります。たとえば、同じ集合住宅に住む日本人と外国人の間で、意思の疎通を図ることができず、トラブルが生じてしまうことが考えられます。ゴミの出し方など、言葉の問題や習慣のちがいにより、トラブルが発生することは、身近に起こり得る問題です。

また、地方では、少子高齢化による人口減少で、働き手が不足しているところが多くあります。人手不足が深刻な地域では、労働力として外国人の力が必要とされています。しかし、表では、地方に住んでいる外国人は少なくなっています。

このように、表から読み取れる情報をもとに、筋道を立てて社会問題について考えられていれば、正解になるでしょう。

「聞いたことはあるけど……」「誰かが解決してくれること……」ではなく、自分ごとにする。自分なりの解決策を求められる時代になっていく。だからいま、実際の世界で起きている問題や課題、SDGsについて、親子で「考える」を広げて深め、課題の解決を探ってみてください。

「ああでもない、こうでもない」と親子で試行錯誤したり対話したりする時間が、今後、子どもが自ら考え、学び、自分なりの「答え」を出していく大きな助けになると、私たちは考えています。どうぞ親子で「考える」を動かし続けてください。

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