2020教育改革 国語力の鍛え方

国語力アップには「型」があった! 文章スキルを高める授業に密着

2019.11.06

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斉藤 純江
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「つくば言語技術教育研究所」(茨城県つくば市)の三森ゆりか所長は、子どもたちに読む、書く、話すなどを「言語技術」として教えています。「技術」を段階的に学べば、誰でも読解力や文章の書き方、説明や議論の仕方のコツが身につくといいます。

2学期が始まったばかりの9月、横浜市の森村学園初等部3年の教室で、三森さんの作文の授業があった。

冒頭、三森さんが「あなたは図書室が好きですか」と問いかけると、女子児童の1人は「私は図書室が好きです」と答え、「理由は二つあります。一つ目は……」と続けた。質問に対し、「主語を入れて話す」「結論を先に言う」「理由を言う」などのルールを守りながら答える「問答ゲーム」という取り組みで、三森さんの指導の柱の一つだ。

ゲームを通じ、「主張→根拠→結び」の順序で答える、といった「型」を身につければ、根拠を持って自分の意見を伝えられるようになる。作文や小論文を書く時にも役立つ。「型」をもとに文章の構成を考えれば、書くのが苦手な子でも「何を書いていいかわからない」ということはなくなるという。

この日の授業で児童は、「図書室が好き」というテーマで文章の設計図を作り、原稿用紙に250~300字程度の作文を書き上げた。

三森さんの授業では、作文に盛り込む内容を付せんに書いて文章の「設計図」を作る
三森さんの授業では、作文に盛り込む内容を付せんに書いて文章の「設計図」を作る

絵本に描かれた場面の場所や時間を読み解く

同じ日にあった初等部1年の授業は、絵をもとに分析力を高める練習だった。

三森さんは、こびとたちが台所でソーセージを作る様子が描かれた絵本の一場面をスクリーンに映して見せた。「この絵の場所はどこ?」「どうしてそう思ったの?」と問いかけていくことで、描かれた場所や時間などを、根拠に基づいて推測し解釈できるようになる。同じ手法を使えば、文章を批判的、分析的に読めるようになるという。

三森さんは13歳から4年間、当時の西ドイツで過ごした。現地の学校で議論や小論文に苦労した経験を通じ、日独の母語教育の違いに気づいた。「ドイツでは、数学のような積み上げ式のカリキュラムで言語技術を鍛えます。一方、日本の国語教育は、高校までの授業で読む、書く、話すといったスキルを系統的に身につけるシステムになっていません」

森村学園は2012年度から、同研究所と提携し、「言語技術」の授業を取り入れている。「書き方や伝え方を具体的に学べるので、質、量ともに充実した文章が書けるようになり、自分の考えを言葉で説明するスキルが高まっています」(中・高等部の林宏之教頭)という。

2020年度から始まる大学入学共通テストでは、国語と数学に記述式問題が導入される。三森さんは「『入試が変わる』と慌てるのではなく、読み、書き、話す力をきちんとつけておくことが大切です」と話している。

三森ゆりかさん

つくば言語技術教育研究所所長。ドイツの母語教育を参考に独自のカリキュラムを開発し、約30年にわたって自身の研究所や全国の小中高校で子どもに教えているほか、教員や企業の研修で講師を務めている。主な著書に「大学生・社会人のための言語技術トレーニング」。

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