保護者のためのネットリテラシー講座

子どものインスタグラム利用、保護者が注意すべきことは? いじめやトラブルに巻き込まれないために

2019.10.18

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薮田 朋子
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年々拡大するソーシャルメディアは大人だけではなく、子どもたちの参加も増えています。中でも人気の高い写真・動画共有アプリケーションInstagramは、日本国内でもユーザー数が増え続け、「インスタ映え」という言葉が2017年の流行語大賞に選ばれるほど。はたして、子どもたちがInstagramを楽しく安全に使うために、大人たちはどうサポートすればよいのでしょうか?

話を伺った人

高橋 暁子さん

ITジャーナリスト

(たかはし・あきこ)元小学校教員。Web編集者などを経て、ITジャーナリスト、情報リテラシーアドバイザーとして活動。SNSなどのWebサービス、情報リテラシー教育などに詳しい。テレビをはじめとするメディア出演、書籍や雑誌、Webメディアでの原稿執筆、講演やセミナーを行う。著書は「ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち」(幻冬舎)など。

気軽だからこその落とし穴 Instagramのいじめ問題

――まずは10代のInstagramの利用状況について教えてください。

仲間同士のコミュニケーションツールになっています。LINEは連絡先として、いろいろな人とのやりとりの手段ですが、Instagramは仲がいい子とつながるための場。友だちや好きな人に向けた内輪な投稿が多くなりがちです。

さらに、Instagramは「フィード」と「ストーリーズ」で投稿内容が異なる傾向にあります。フィードは自分のアカウントページに残るのでおしゃれな「インスタ映え」写真を投稿します。一方、ストーリーズは投稿後24時間で消えるため、「今ここにいます」「今日はこんなメンバーだよ」という気軽な投稿が多い。問題視されているのがストーリーズで、いじめなどのモラルに欠けた動画や写真が投稿され、昨今は炎上が目立つようになりました。

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平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省)

――なぜストーリーズに良くない投稿がされるのでしょうか。

24時間で自動消滅するという気軽さに原因があると考えられます。ストーリーズへのいじめ動画の投稿は、共通の友人に見せる目的の悪ノリです。動画には必ず、周りの人の笑い声が入っています。「フォロワー数が少ないから、どうせ見るのは仲間内」「すぐに消える」という油断がストーリーズに載せてしまう大きな理由でしょう。

炎上することによって、一生ネットに個人情報が残ってしまう可能性も

――悪ノリのウケ狙い、という軽い感覚なのですね。フォロワー数が少なくても、炎上してしまうのでしょうか?

 投稿を見ておかしいと気づいた子や、投稿者に憤りやおびえを感じた子が画面収録をするんです。専用アプリや端末の画面収録機能を使って、ストーリーズを保存できます。それがTwitterやYouTubeなどに転載され、拡散された動画は「トレンドブログ」にまとめられてしまうこともあります。

トレンドブログは、アフィリエイト目的の人がアクセス数を稼ぐために、炎上事件などのネット情報をまとめたものです。事件の概要から当事者の名前やSNSアカウント、顔写真、学校名などの個人情報まで調べられて公開されます。炎上すると名前の検索でトレンドブログがたくさん出てきて、しかも何十年も消えない“デジタルタトゥー”となってしまうのです。

――なぜすぐに削除できないのでしょうか。

児童ポルノやリベンジポルノは、違法・有害情報の流出を防ぐために民間企業が主体で設けた「セーファーインターネット協会」によって、国内外のプロバイダーへ削除依頼ができるようになっているので、ほぼ消せます。 

しかし、そうでないケースの場合、個人で運営しているまとめブログは一つひとつ交渉しなければなりませんし、ニュースサイトで配信された記事を取り下げることも難しいと言えます。しかし、検索結果に表示されないよう、Googleに依頼する方法はあります。

――炎上事件が根強くネットに残ってしまうことで、人生が大きく変わるということもありそうですね。いじめの話に戻りますが、子どもがInstagramでなにか被害に遭っていた場合の対策はありますか。

いじめやなりすましなどの場合は、スクリーンショットや画面収録機能で動画を証拠として残しておき、まずは学校に相談することですね。運営に報告しても本人確認が難しく、すぐに削除対応をしてもらえないことがありますから。

なりすましは大抵、クラスメートなどの身近な子どもが犯人という場合が多いので、子ども同士で「最近、誰かを怒らせてない?」と話してみると、「Aちゃんが怒っていたよ」と耳に入ってくる可能性があります。ネット上だけで突き止めようとするのではなく、周りの子の意見を聞いてみるというのも、問題解決へのスピードを速める手になるでしょう。

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出会い目的の相手から子どもを守る、フィルター設定

――SNSを使った出会い系の被害も心配です。
 
それも最近多くて、啓発の授業も増えています。子どもたちにとってSNSは、暇つぶしでやりとりする相手を探す場。中には、SNSを通じて恋愛ができるかも、と期待する子もいます。相手が見えなくても怖い目に遭ったことがないので、無鉄砲な行動を起こしてしまいがちなのです。 

――同じ趣味を持つ人同士のコミュニティーなど、楽しい出会いが多いので、気が大きくなるのかもしれませんね。

 「かわいいね」などと褒められたり肯定されたりすると、相手を信用してしまいます。今、SNS経由で知り合った人に裸の写真を送るのは、中高生だけでなく小学生に増えているんですよ。「LINEスタンプをあげる」などの対価にバイト感覚で飛びついてしまうのです。

 外から見えるコメント欄での会話ならまだ対処はできますが、LINEやダイレクトメッセージ(DM)といった見えない場所でのやりとりは大変危険ですので、親が注意しなければなりません。

 ――子どもがトラブルに巻き込まれないために、親が気をつけるべきことはありますか?

まずはInstagramの初期設定を確認しましょう。「設定」→「プライバシー設定」→「コメントコントロール」の「コメント許可の対象」でコメント範囲を選べます。

その下の「フィルター」では「不適切なコメントを非表示にする」をオン。「手動フィルター」もかけられます。「手動フィルター」内の「報告が特に多い言葉をフィルター」もオンにしておくことをおすすめします。迷惑なコメントや不適切な絵文字などを非表示にできますから。

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タグの「自動的に追加」をオフにしておくことも推奨します。自分のタグがついた友だちの写真に、居住エリアや本名など個人情報が載っている場合があるからです。

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あとは「セキュリティ」→「二段階認証」をしておくと、アカウントをのっとられるリスクが減ります。のっとられると、周りの人に迷惑をかけたりDMの個人情報を見られたりするので、セキュリティーを万全にしておきましょう。 

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これらは最低限、初期設定でしておきたいことです。非公開アカウントにして友だちのみとつながるのがもっとも安心ですが、本人がこれを嫌がった場合は強制できないのかなと思っています。

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使う前のルール設定とその後の対話で、SNSの危険性は下げられる

――アカウントのパスワードは親も把握しておくべきでしょうか?

トラブルが発生したときに助けられるので、できれば把握しておいたほうがいいですね。パスワードは、誕生日やニックネーム、「1234」「happy」「love」など簡単なものだと破られやすいので、個人情報にひもづかない、推測されないものにしましょう。プロフィルに書いてある言葉をパスワードにするのは言語道断。頻繁に変更するよりも、長い文字列にしたほうが破られづらくなります。

おすすめのパスワードの保管方法は、手書きメモです。手書きならネットで流出することもありませんよね。もちろん外に持ち出さず、手帳などに挟んで家に保管しておきましょう。

――危険な投稿をさせないために、親は子どもにどのように伝えればいいでしょうか。

とにかく最初が肝心です。例えば、スマホは貸与物として持ち主は親であることをしっかり伝えること。「なにかあったら返してもらう」と約束して、問題を起こさないよう意識してもらいます。

また、使う前の説明も大事で、SNSで起こりうる問題を心配していることを伝えましょう。「勝手には見ないけれど、なにかあったときに見せてね」と、親が見る可能性があることをあらかじめ伝えておくと、行きすぎた行動の抑制にもなります。

――先にルールを指導しておくのですね。

きちんとしたルールの下で使い、日常会話でも普段どんな人とネット上でやりとりしているのか、どんな使い方をしているのかなどを話してください。親のほうから自分のSNSやメッセージのやりとりを見せるのもいいですね。

――ほかにも、子どもに伝えておくとよいルールはありますか?

自撮りも大半の子どもたちがアップしているので、自分の子どもだけ禁止にはなかなかしづらいと思います。ですので、せめて顔を載せるなら実名を一切書かない、学校名や居住地などがわかるものは写さない、制服では撮らないなど、個人情報が漏れないように自衛しましょう。素顔が特定できないほどフィルター加工されるアプリは、身元特定を防ぐ効果もあります。

――SNSを始めとするスマホの利用には、親子間のコミュニケーションが重要ということですね。

InstagramなどのSNSの利用規約では、アカウントを作れるのは13 歳以上というルールがあります。ただ、Instagramは登録時に年齢を入力する必要がなく、13歳以下の子どもも利用しているのが実状です。いずれにしても、子どもがSNSを使用するときには親の責任、保護管理のもとで使うようにしましょう。オフラインでのコミュニケーションが、オンラインをうまく使うカギになりますから。

 (撮影:辰根東醐 編集:阿部綾奈/ノオト)

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