連載・親子で「考える」を動かそう! SDGs編

「親子の会話時間から見る『仕事の状況』と“いま”」 日本大学三島中・国語の入試問題から

2019.10.24

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日能研
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中学入試ではときに、大きく深いテーマを扱った問題が出ます。SDGsSDGsSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年9月の国連サミットで採択された。スローガンは「誰一人置き去りにしない」。30年までの達成を目指し、17分野の目標(ゴール)と169の具体的な目標(ターゲット)を設けている。 20年度から順次、実施される新学習指導要領でも、児童・生徒が他者を尊重し、多様な人々と協働しながら「持続可能な社会の創り手」となることを求めている。と深いつながりを持つものも少なくありません。SDGs編では、関連する中学入試問題を紹介します。あらかじめ準備できるような模範的な「正解」はありません。世界の課題を「自分ごと」として考える人になってほしい――。そんな出題校の思いが込められている入試問題に触れて、親子でアタマとココロを使い、「考える」を動かしてみませんか?(問題文の一部を変えている場合があります)

6回目は日本大学三島中学校の国語の問題です。

日本大学三島中学校 2017年/国語

表から読み取れることと、その読み取ったことが起きる理由や原因を答えなさい。

 t2)父母と子どもたちとの会話時間.jpg

日能研の解説

この問題では、表にまとめられている数値をとらえたうえで、その数値が示している意味合いを子どもなりに考え記述することが求められています。表の中のどの数値に着目するかは、受験生によって異なるでしょう。その「切り口」を、受験生にまかせている問題です。だから、受験生一人ひとりが“自分ごと”として取り組める。自分の考え、価値観、思いを、表から読み取れることと重ねて、自由に表現することができるでしょう。

また、「父親」「母親」別に会話時間がカウントされていることに着目すれば、「男性」「女性」というジェンダーの側面に焦点をあてることもできます。この表をきっかけに、未来を生きていく子どもたちが、ジェンダーの平等について考えることもできるのではないでしょうか。

さて。表の中に書かれている数値のうち、共通する数値大きな差のある数値に着目すると、表に書かれていることがらの特徴をとらえやすくなります。また、読み取ったことが起きる理由や原因については、現代の日本の家庭状況をもとにして考えたり、受験生の身近な家庭環境や、母親や父親といった性別的な部分をもとにして考えたりするなどして、多様な視点で表をとらえることができそうです。

表から、1週間のうち父親が子どもたちと会話を交わしている時間は29時間以内が9割近くと多く、うち4時間以内が約3割を占めることがわかります。それに対して、母親は39時間以内で約7割を占め、70時間以上子どもと会話している母親もいることが見て取れます。

よって、父親よりも母親の方が、子どもとの会話時間は多く持てる傾向にあることがわかります。父親と子どもとの会話時間が短いという現象が起きる原因のひとつとしては、会社に勤めている父親の率が高く、家に不在となる時間が多いことが考えられるでしょう。一方、母親の方が子どもとの会話時間が長い理由は、在宅時間が長いこと、また、子どもたちの世話を母親がしている率が高いことも考えられます。

表はおよそ10年前のものですが、子どもたちとの会話時間が「父親は少なく母親が多い」傾向は、「父親は家庭の外で働き、母親は家庭の中で家事や子育てをするもの」という日本の「仕事の状況」を反映していると言えそうです。ただ、自分の身の回りにある“いま”の「仕事の状況」や「働く環境」に目を向けてみると……女性の働き方がかわりつつある“いま”や、多くの母親が会社勤めなどの仕事をして活躍している“いま”も見えてきます。

未来につながる男女平等の視点から見れば、SDGsの目標5「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」につなげることもできます。その他にも、「働き方改革」(長時間労働などの労働環境の改善や、在宅勤務などの勤務スタイルの多様化……)など、現代の日本の社会が抱えるさまざまな問題とのつながりが見えてきます。

“いま”を、自分ごととして引き寄せる。親子で「考える」を存分に動かしてみてください。

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