『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

東大日本史に必要なのは基礎知識と表現力 社会科は読解力つける科目だ

2019.10.17

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桜木 建二
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ひと呼んで、「日本でいちばんたくさんの生徒を持つ社会科講師」。それが伊藤賀一さんだ。現在、リクルート「スタディサプリ」などで中学社会、高校日本史、倫理、政治経済、現代社会その他の授業を担当している。オンライン予備校として数十万人の受講生を有する「スタディサプリ」の講師で、しかも社会科全般をカバーしてしまう幅広さゆえ、「日本で最も生徒が多い」と考えられるわけだ。そんなスペシャリスト・伊藤さんに、社会の勉強のしかたを指南してもらうぞ。

社会は読解力がつく教科だった!

伊藤:英語、国語、算数・数学の主要3教科に比べ、社会や理科の勉強はどうしてもあとまわしにされがちですよね。でもじつは、社会が得意な子って、ほかの教科もよくできる傾向がまちがいなくあるんですよ。

「社会なんて、ただの暗記科目」といった認識が、そもそもまちがっているのです。たとえば歴史なら、起こった出来事を解釈し、判断力や思考力を駆使してその理由や流れをつかむのが、本来の勉強のねらい。そこで養われるのは読解力です。社会にしっかり取り組むと、勉強ができるようになるための最重要能力たる読解力がつくので、ほかの教科の力も伸びる傾向にあるのでしょう。

「社会なんて、ただの暗記科目」といった認識が、そもそもまちがっているのです。たとえば歴史なら、起こった出来事を解釈し、判断力や思考力を駆使してその理由や流れをつかむのが、本来の勉強のねらい。そこで養われるのは読解力です。社会にしっかり取り組むと、勉強ができるようになるための最重要能力たる読解力がつくので、ほかの教科の力も伸びる傾向にあるのでしょう。

2022年から必修になる「日本史」では表現力も求められる

桜木:2022年から必修になる「日本史」では表現力も求められると聞く。つまりは、これからの必須の学力として注目されている「表現力」も、社会で基礎を固められるのか?

伊藤:2022年に、高校の歴史の授業の履修形態が変わることになりました。いま日本史は選択科目で、履修せずに済ますこともできるのですが、2022年以降は「歴史総合」という必修科目が生まれ、世界史も日本史も同時に学ぶこととなるのです。

ここで重視されるのは、歴史の流れや関係性。日本でこんなことが起きていたとき、アジアやヨーロッパはどうだったか。米国でのある出来事は、同時代の日本にどんな影響を及ぼしたか。個々の事象の暗記というよりは、こうした歴史上の「なぜ?」「どのように?」を理解し説明できるかどうかが問われるようになります。

もちろん大学入試の社会の問題も、同じ方向にシフトしていきます。歴史の知識を問うだけでなく、その知識を材料にしてどのように考えを発展させ、まとめ上げて意見を述べられるかがポイントとなっていきますよ。

問われていることを読み取る読解力と、知識を存分に展開する表現力が、これからの社会には求められますし、逆にいえば正しく社会の勉強を積んでいけば、読解力と表現力をみがくことができます。それら「学びの基礎力」があれば、ほかの教科の学力アップにも当然つながっていくわけです。

東大の入試問題(日本史)が象徴的な例

桜木:それじゃあ、社会科を正しく学ぶことが、総合的な学力アップのカギなのか? さらには、2020年からの教育改革への対応・対策がしっかり取れるというのか?

伊藤:その通りです。一連の教育改革でいっそう求められるようになるのは、みずから思考し、判断し、表現する力。これらは社会科の学習を通して養えますよ。

いい先例がひとつあります。東京大学の入学試験における、日本史の出題です。東大の日本史は型が決まっていて、たいてい大問が4つ、すべて論述式で出ます。あるデータや史料が提示されて、それらについての論考を述べるのですが、ここで大事なのは出題文が何を問うているか。そこをしっかり読み取って、的確に問いへの返答をするべきなのです。

しっかりとした問題文の読み取りが分かれ道

桜木:なるほど。

伊藤:つまりは問題を正しく読み取れているかどうかが勝負。ハイレベルな知識は必要ありません。いえむしろ、問題の主旨に外れた知識をひけらかしているようでは、点数をもらえません。易しい言葉で問われたことにだけ論理的に答えなければいけません。

うまく論述できているかどうか、自主的にチェックする方法がひとつあります。自分の書いた解答を虚心に読んで、問いを推測できるかどうか考えてみるのです。それができれば、問いの文言を完全に読み解き、理解し、返答できている証拠となりますよ。

東大の日本史を解くのに必要なのは、何をおいてもまずは読解力ということです。次いで、読み解いた内容を展開するための、体系立てられた歴史の基礎知識。くわえて文章に落とし込む表現力となります。

東大の日本史は、いわば時代を完全に先取りしていた良問であって、教育改革以降の社会科の、いえ、あらゆる科目の入試問題はこうしたものになっていくでしょう。

桜木:では、これから大いに役立ちそうな読解力、知識の体系化、表現力はどう得ていけばいいのか?

伊藤:歴史の勉強にいっそう力を入れていきましょう。とはいえ、さほどつらい思いをすることはありませんからご安心を。楽しみながら進められるのが歴史という科目のよさです。膨大な量の暗記をしなければいけないのではつらそうですが、そんな必要は、なし。歴史は無数のワクワクするストーリーに彩られているものですから、それをひとつずつたどっていけばいいんですよ。

 (ライター・山内 宏泰)

※この連載の最新版は、LINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)で読めます。

180x180ドラゴン桜伊藤賀一さん

話を伺った人

伊藤賀一さん

いとう・がいち 1972年9月23日、京都市生まれ。法政大学文学部史学科卒業後、東進ハイスクール最年少講師として30歳まで授業を担当。その後、20以上の職種を経験し、4年後、秀英予備校で塾講師に復帰。現在、小学生から社会人までを対象とするオンライン予備校『スタディサプリ』で、日本史、倫理、政治経済、現代社会、中学地理、中学歴史、中学公民を担当する。43歳で一般受験し、現在、早稲田大学教育学部生涯教育学専修4年に在学中。多彩な経験をベースとする話術で受講生たちをひきつけている。

『ドラゴン桜2』
作者は漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したものの、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。学校理事として加わった弁護士・桜木建二が淡白な「現代っ子」たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに制作されていて、漫画を通じて実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。2018年1月から、雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。2003~07年に同誌で連載したパート1は、廃校寸前の龍山高校に通う偏差値30台の高校生が、1年で東大に合格する姿を描き、話題になった。

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