家族のとなりに新聞を

「おかしいよこのグラフ」新聞を活用した授業で気づいた被害統計のからくり

2019.11.06

author
関口 修司
Main Image
  • 新聞に掲載された二つのグラフからデータの伝え方の違いを知る
  • 情報処理やデータ分析の学び、身近なテーマを題材にすれば、実感を深める効果効果
  • 新聞を教材に「我が事」と捉えられれば、学習意欲を高める効果も

社会とつながるリアルな学び 深まる実感、高まる意欲

折れ線グラフ見つめ、「減って良かった」

新学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」というキーワードが強調されています。この言葉を、私なりに一言で表すと「学校の学びを社会とつなげる」となります。社会とつながる授業って、どんな授業なのでしょう。以前にほかでも紹介したことがありますが、小学4年の算数の教室をのぞいてみましょう。この日のテーマは「折れ線グラフと棒グラフ」です。

「振り込め詐欺って知っていますか?」。担任の先生は、振り込め詐欺が特殊詐欺の一つであること、お年寄りが巻き込まれて大きな問題となっていることを説明。「これが新聞に載っていました」と、特殊詐欺の被害総額の折れ線グラフのコピーを配りました。しばしグラフを見つめると、子供たちは「2014年をピークに下がり始めた」「3年間で600億円から400億円まで被害額が減った」と読み取っていきます。

「減って良かった」という発言を待っていたかのように、担任は新聞に載っていたもう一つのグラフを掲示しました。発生件数(記事では認知件数)の棒グラフです。14年以降も件数が増えていることがわかります。教室には沈黙が走りました。

新聞を活用した教材、社会の出来事を「我が事」に

「おかしいよ。このグラフ」。子供たちが口々につぶやきます。やがて、そのからくりに気付き始めます。「1件あたりの被害額が減ったんだよ」と声が響くと、別の子が付け加えます。「でも、被害額を発生件数の約2万件で割ったら1件あたり平均200万円にもなるよ」。そこで、担任は「その通り、被害者は多くなっているのです。身近な人にも起こるかもしれません」と力を込め、言葉を続けました。

関口コラムにつくグラフ

「実は、新聞に載っていたグラフはこれです」と、折れ線と棒の2種類が入ったグラフを提示しました。すると子供は「これなら二つのことを一つに表せる」「二つの関係も分かる」と納得。 

教科書の多くがこの単元で、気温等の変化を表すグラフを使っています。それと比べて新聞を活用した教材は、子供たちに切実感も与えてくれます。授業と社会をつなげれば、社会の出来事も我が事として捉えられます。もちろん、そうなれば、学習意欲も高まるに違いありません

Latest Articles新着記事