国語のチカラ ~読解力アップの教科書~

6年生の効果的な過去問の取り組み方 いつから何年分やればいいの? 採点、復習のコツは?

2019.09.26

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南雲 ゆりか
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過去に実施された入学試験問題=「過去問」。各学校の出題傾向を把握し、対策を講じるために、「過去問演習」は必須です。本番のシミュレーションをするだけでなく、過去問との相性を受験校選びの判断材料とする場合もあります。秋~受験直前、塾やご家庭で取り組む人も多いでしょう。今回は、「効果的な過去問の取り組み方」を説明します。

●過去問とは?

過去問には、学校から受験生へのメッセージが詰まっています。

中高の国語の先生方は、学校の威信をかけて、話し合いを重ねながら入試問題をつくります。学校の教育方針に照らし合わせ、入学前に身につけておいてほしい学力をはかるのです。そのため、入試問題には学校の思いが強く反映されます。

受験生の学力の散らばりが表れるように、さまざまな難易度の問題を多めに出題する一般的な模擬試験とは、そのような点で異なります。

過去問は志望校に一歩近づき、学力を伸ばすための、またとない教材です。存分に活用したいものです。

●過去問に取り組む時期は?

一般的に、過去問演習を本格的に始めるのは、6年生の秋とされます。でも、国語の場合は、もう少し早い時期に始めていただいて大丈夫です。国語は6年生になって新たに学習する単元がほとんどないからです。一部の漢字や知識問題を除き、「習っていないから解けない」ということは起こりません。

そこで、次のように3つの時期に分けて考えるとよいでしょう。

(1) 6年生の春~過去問と出合う

志望校と自分の距離をはかり、学習課題を見つけましょう。

この時期はまだ、受験生が入試レベルに達していません。読むスピードが遅い、大人の表現になじんでいない(でも、本文から探せば解けるものはできる)、といった状態です。

解けそうな気がしない、気がすすまない場合は、無理に解く必要はありません。本文を読むだけ、問題に目を通すだけでかまいません。

もし、チャレンジしてみようという人は、2年くらい前の過去問を使用します。出題傾向が変わっている場合は、変わった後の新しいものにしましょう。受けるかもしれない学校の過去問を、とりあえず1回分解き、出題傾向や特徴、難度を体感してください。

 制限時間内で解く必要はありません。延長は20分くらいまでとします。合格者平均点の8割くらいの点数が取れれば上出来です。

(2) 6年生の夏から秋の初め~過去問を教材として学力を伸ばす

それまでつけてきた力を確認するつもりで、正解を出すことにこだわって解いてみましょう。

この時期の受験生は、すでに塾などで過去問を利用した教材で学習しているため、入試レベルの問題にかじりつく力がついています。

3年前、4年前……とさらに過去の年度にさかのぼります。複数回入試をしている学校なら、同じ年度の2回目入試、3回目入試……と進めます。規定の試験時間内で解けなければ時間を延長して、かかった時間を記録しておきます。制限時間外で解いた問題にも印をつけておき、時間内で解き切るために何を改善すればよいかを分析します。

(3) 6年生の晩秋から冬~本番を想定して演習する

本番のシミュレーションをしましょう。

この時期にはもう、入試問題を解く力が育っているはずです。

直近の過去問を使用して、制限時間内で解きます。入試では、1時間目が国語になっていることが多いので、朝、本番と同じ時間に開始するのもおすすめです。

春、夏に解いた中であまりよくできていなかったものがあれば、再度、解くのもよいでしょう。答えを覚えてしまっているようなものは繰り返し解く必要はありません。

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 (1)~(3)のどの段階においても、過去問演習で気をつけたいのは、以下のことです。

○問題の準備

一度、原寸大のもので取り組めるといいでしょう。特に、記述の解答欄は、本番と同じものでないと、文字量がつかめません。

学校説明会などに参加して現物を手に入れられれば理想的です。市販の過去問題集を使うときは、解答用紙を原寸大に拡大コピーしましょう(倍率の指示がある問題集も市販されています)。学校や塾のウェブサイトでダウンロードするときも、問題用紙、解答用紙ともに原寸大にサイズ調整してください。

過去問題集の解答・解説については、切り取って別に保管するか、問題用紙の方をコピーするなどして、うっかり答えを見てしまわないような仕立てにしましょう。解答・解説と問題用紙を別にしておくと、復習のときに解答・解説が参照しやすくなるというメリットもあります。

○採点の仕方と点数の受け止め方

点数よりも、得意なものと、学習を必要とするものを把握することに注力してください。

合格者平均点と、お子さんの過去問の得点を細かく見比べて一喜一憂するのはあまり意味がありません。合格者平均はあくまでも「平均」ですから、多少、下回っていても問題ないでしょう。

また、過去問題集にのっている配点は、学校配点と明記されているもの以外、出版社による推定の配点です。そのため、実際に学校の先生が採点するものとは、ズレが生じます。大体の感触をつかむつもりで、点数を受け止めていただけるといいと思います。

記述問題の採点に迷ったときには、塾の先生におねがいしてみてもらうと安心ですね。

学校によっては設問ごとの正答率を公表しています。これは、積極的に参照して、正答率が高いのに間違えたものは、よく復習しておきましょう。

○何年(回)分に取り組むべきか

第1志望校は10年(回)分、第2、3志望校は3~4年(回)分、第4~7志望校は1、2年(回)分が目安です。複数回入試がある場合は、「回」で数えてください。

南雲国語教室の子どもたちを見ていると、過去問に取り組むことで、スイッチが入り、目の色が変わってきます。志望校の過去問に触れると、「受かりたい」という思いがわいてくるのでしょう。

冒頭で、「過去問との相性を志望校選びの判断材料とする場合もある」と書きました。どうしても、第1志望校の出題傾向が合わないという人もいるでしょう。でも、それだけを理由に受験をやめてしまうのは、少しもったいないと思います。苦手を克服する努力をする、ほかの教科で挽回する戦略を立てるなどしてみてください。

お子さんの気持ちを大事にしながら、過去問にはていねいにあたっていただければと思います。(1)~(2)のどの時期においても、解きっぱなしにしないことです。過去問も解いてからが勝負! いつもお話ししているように、解説を読みながらていねいに仕上げをしてください。

国語のチカラ926

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