ゼロからわかる! 2020大学入試改革 おさえておきたいポイントを解説

大学入試の共通テスト 英語民間試験は3回以上受けたらどうなる? 異なる種類の組み合わせもOK?

2019.09.13

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増谷 文生
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2020年度からの大学入試改革について、朝日新聞社会部で大学入試や教育問題を取材する増谷文生記者がポイントを解説します。今回は特別編。3回にわたって、読者のみなさまから寄せられた質問に増谷記者がお答えします! 

(質問)徳島在住の高1と中2の親です。英語民間試験は受験年度に受験した2回分を採用するということですが、検定試験を2回しか受けられないということでしょうか。また、何回か受けられるのだとしたら、スコアの高い2回分を自分で選んで申請できるのでしょうか。

英語民間試験は、2回しか受けられないわけではありませんが、高校3年生の4~12月に実施される試験を何回受けたとしても、2回分の成績しか採用されません
今回の仕組みでは、大学入試センターが発行する共通IDというものがポイントになります。英語民間試験の受験を申し込む時点で、申込書の「共通ID記入欄」に自分の共通IDを書き込みます。この、共通IDを記入した試験の成績だけが、入試センターを経由して、その後に出願した大学に送られて合否判定に活用されます。つまり、試験を受けた後に、良くできた(スコアの高かった)2回分を選んで、「この試験の成績を使って合否判定をしてください」と申請することはできないのです。
また、3回以上IDを書き込んで試験を受けても、自動的に、試験日程が早かった順に2回分の成績だけが入試センターに送られます。一方、3回目以降の成績は、どんなに良い成績でも送られません。
なお、文部科学省の大学入試英語ポータルサイトに最新の情報がまとめられています。

英語民間試験の今後の流れ

(質問)2回の試験は、別の種類の組み合わせでもよいのでしょうか。

1回目と2回目で異なる試験を使うことは可能です。入試センターは、英検やGTEC(ジーテック、ベネッセの試験)、TOEFLなど7種類の試験を認定しています(TOEICはこの仕組みから離脱したので使えません)。英検やGTECにはいろいろな種類がありますが、今回、使える試験はその中の一部です。英検ならば「S-CBT」、GTECなら「大学入学共通テスト版」がメインになるとされています。ちなみに、学校で受けるタイプの従来型の英検は、使えません。
「1回目も2回目もGTEC」というように2回を同じ試験にしても、「1回目は英検、2回目はTOEFL」などと違う種類の試験にしても、成績は同じように2回分が入試センターに送られます。
ただ、徳島県ですと、来年4~12月の間に、県内に試験会場が設けられる試験は限られそうですので調べておく必要があります。
なお、7種類ある試験は、問題の内容、スタイル(例えば「話す」テストは面接担当者と対面式でやるのか、タブレット端末に音声を吹き込むのかなど)が、かなり異なります。慣れるために、3年生になる前から同じテストを受ける作戦を望む人もいるでしょう。ところが、英検がメインとする「S-CBT」や、GTECがメインとする「大学入学共通テスト版」は、3年生の時に2回までしか受けられない決まりとなっています。受験生に加えて練習で受ける人が殺到して会場がパンクしないように、という理由で制限をかけることになりました。
ここまでの説明は、国公立大や一部の私立大などで使われる仕組みです。私立大の多くは、英検などの民間試験を課さなかったり、独自に使える試験を決めたりしています。志望する大学のホームページを見たり、入試担当の部署に連絡したりして、しっかりと確認してください。

大学入学共通テストで使える英語民間試験

試験の名称
(実施団体)
日程や会場などの発表状況
ケンブリッジ英語検定
(ケンブリッジ大学英語検定機構)
10都道府県以上で6、8、10月を中心に実施予定。11月に確定
英検(新型)
(日本英語検定協会)
「S-CBT」は4~11月に約260会場で毎月実施。4~7月(第1回)、8~11月(第2回)で1回ずつ受験可能
GTEC
(ベネッセコーポレーション)
共通テスト版は6、7、10、11月に実施し、2回まで受験可能。試験会場を置く地域は秋に発表
IELTS
(ブリティッシュ・カウンシル/IDP)
16都道府県で最大24回実施/23都道府県で最大22回実施
TEAP
(日本英語検定協会)
全国10ブロックで7、9、11月に実施
TEAP CBT
(日本英語検定協会)
全国10ブロックで6、8、10月に実施
TOEFL iBT
(ETS)
11月に試験日程を発表、全国10地区で実施予定
TOEIC
(国際ビジネスコミュニケーション協会)
★参加取り下げ

(2019年9月12日時点。IELTSは同じ試験を二つの団体が実施し、日程や会場が異なる)

(質問)現在高校3年生の保護者です。来年1月に最後のセンター試験を受験しますが、浪人した場合、いろいろ不安な点があってメールいたしました。
まず、大学入試センターが共通IDを発行するそうですが、最初の共通テスト(英語民間試験も含む)を受ける浪人生はいつ、どのように共通IDを取得したらよいかの情報が見つかりません。このIDは、英語民間試験の成績を志望大学に送る際に必要なものでしょうか。

共通IDは前述した通り、英語民間試験の成績を、入試センターを経由して出願した大学に送るためのものです。その共通IDの発行についてですが、まず、現在の高校2年生の場合から説明すると、今年11月、入試センターに対し、各高校がまとめて発行を申請することになっています。申請すると、来年1月ごろに高校を通じて各生徒に共通IDが届きます。共通IDは2年間有効なので、今の高校2年生は、今回発行されると、現役の時に加えて1浪で受験する際にも使うことができます。
また、現在の浪人生は、個人で申し込みます。2年生と同じ11月に本人を確認する書類とともに入試センターに申請し、来年1月ごろに発行されます。
そして、ご質問にあった現在の高校3年生についてです。今度の2019年度入試でなく、「浪人の可能性も考えて」などの理由で、2020年度に実施する英語民間試験の共通IDの申請をしておきたい人もいるでしょう。そういう3年生は、今回は移行期なので、高校を通じて申し込む場合と、個人で申し込む場合の両方がありうるという特別な仕組みで発行されます。高校がまとめて申請する際には12月に申請し、来年2月ごろに発行されます。まとめて申請してくれるのかどうか、通っている高校に問い合わせてみてください。個人で申し込む場合は、浪人生と同様に11月に本人を確認する書類とともに申請し、来年1月ごろに発行されます。

(質問)今回の共通テスト実施に関しては、浪人生に配慮した問題は作成しないとのことです。しかし、現在の高校3年生と2年生では、学校で受ける授業内容が異なっているはずです。学習指導要領の範囲では同じでも、高校の英語カリキュラムで「聞く・話す」に関する授業の内容や質が大きく変わっているはずです(現3年生はセンター試験の受験を前提にカリキュラムが作られているはずなので)。そうなると、現3年生と2年生では平等の教育を受けているとは言えず、現3年生が浪人した場合、共通テストの内容は浪人生に非常に不利になると感じますが、どうなのでしょうか。

「今の高3生が浪人した場合に不利になるのではないか」とのご質問ですが、そういう要素も含めて、「不公平」という声は上がっています。
実は、2009年に改訂された現在の学習指導要領でも、英語の4技能をバランス良く育てるように求めています。しかし、1、2年生の時には4技能をバランス良く教えている高校も、3年生になるころには、「読む・聞く」を重視する傾向が強いセンター試験などの大学入試に合わせて授業をしているケースが目立つと指摘されています。そうした指摘も踏まえ、文部科学省は、4技能を入試で測ることによって高校の英語の授業を変え、「話す・書く」が苦手という高校生の現状を改めたいと考えた経緯があります。
今回の入試改革を受けて、高校側の対応、対策はさまざまですが、高校の授業だけで英語を学ぶ生徒にとっては、ご指摘のような有利、不利はあるかもしれません。また、家庭の経済力によって、学校以外で4技能を学べる生徒と、それができない生徒で、有利、不利が生まれるという指摘もあります。

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