ゼロからわかる! 2020大学入試改革 おさえておきたいポイントを解説

大学入試共通テスト数学記述式の試行結果に衝撃 正答率1割以下で本番は変更

2019.09.11

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増谷 文生
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2020年度から大学入試は大きく変わります。何がどう変わり、どんな準備が必要なのか。新しい入試制度で受験することになる中高生や保護者のみなさんの疑問に、朝日新聞社会部で大学入試や教育問題を取材する増谷文生記者がお答えします!

2020年度から始まる大学入学共通テストでは、数学にも大きな変化があるのでしょうか。

国語と同じように、「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」にも記述式問題が導入されます。マークシート式の問題が大半ですが、2回あった試行調査では3問だけ解答用紙の空欄に数式や短い文章を書き込む問題が出題されました。本番では、数式だけ、または数式と日本語を織り交ぜた解答を求める予定です。

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どんな問題が出るのですか。

2017年秋に実施された1回目の試行調査では、2次関数や三角比、散布図といった分野から、文章と数式を組み合わせて書かせる問題が出されました。 

  2017年度試行調査 数学Ⅰ・数学Aの問題(一部)  

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                       (中略)

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  正答例  

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難しそうですね。正答率はどの程度でしたか。

正答率は例に挙げた(あ)が2.0%、他の2問も4.7%、8.4%、白紙で出された「無解答」の割合は(あ)が49.8%、他の2問は57.0%、46.5%でした。つまり、3問とも正答率は1割に達せず、半数前後が無解答だったのです。

そんなに悪かったのですか。

この結果には大学入試センターも衝撃を受け、昨年秋に実施した2回目の試行調査では、「とにかく解答用紙に答えを書かせたい」と、工夫しました。象徴的だったのが、「集合」に関する基本的な概念を、記号を使って書かせる単純な問題<下記の(あ)>でした。無解答率は17.3%まで減りましたが、正答率は5.8%と低いままでした。他の2問も1回目に比べて解答方法をシンプルにし、数式だけを書き込む問題と短い文章を書かせる問題でした。それでも正答率は10.9%、3.4%、無解答率は44.5%、62.0%と改善しませんでした。 

  2018年度試行調査 数学Ⅰ・数学Aの問題(一部)  

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  正答例  

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まだ難易度が高かったということでしょうか。

入試センターは、記述式問題の難易度はそれほど高くなかったとみています。それよりも、マークシート式問題も含めた全体の分量が、70分の試験時間で解くには多すぎたことが原因だと考えています。実際に、数学Ⅰ・数学Aのマークシート部分だけで見ても平均正答率は34.54%で、全科目の中でも生物の32.63%の次に低いという結果でした。 一方、予備校の担当者は、「記述式問題は初めから捨てて、マークシート式部分に集中した生徒も多かったようだ」とみています。

問題の量が多すぎたというのは。

1回目の試行調査で出されたマークシート式問題のうち、高校の文化祭でTシャツを販売する設定のケースをみてみましょう。「Tシャツの価格がいくらまでであれば、購入してもよいと思うか」という生徒へのアンケートを手がかりに、売り上げが最大になる価格を考える問題です。
問題は、「Tシャツの価格と購入する人数のデータ」など複数の資料をもとに、売上額を2次関数の式を立てて解くように求めています。資料を読み解いて生徒が自分で式を立てて解答するため、同じ式を計算問題として出題された時よりも、かなり多くの時間がかかるのです。

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このままの方針で2021年1月の本番も実施されるのですか。

入試センターは2回の試行調査で、「身近な課題の解決に数学を活用できる、と高校生に実感させたい」との狙いで、日常生活や社会の出来事を題材とする問題を多く出しました。しかし、指摘された時間不足の問題を改善するため、本番では、こうした問題を減らすことにしました。

記述式問題の解答のさせ方は変更しないのですか。

2回目の試行調査でも正答率が低く無解答率も高かったため、入試センターは難易度を下げる目的で、本番では数式を中心に書かせる方針です。試行調査では短い文章を書かせる問題がありましたが、本番では、文章ではなく、数字と記号以外にわずかな日本語を織り交ぜた解答を書かせる問題が出る可能性があります。

成績は、大学ではどのように使われるのですか。

記述式問題の配点は、2回目の試行調査の際は各問5点、3問合わせて計15点でした。マークシート式問題の85点と合わせて、数学Ⅰ・数学Aは100点が満点でした。本番では合計が100点と決まっていますが、記述式問題の配点を何点にするかは決まっていません。
これまで20年度に実施される入試(21年度入学者選抜)の方針を発表した多くの大学は、マークシート式も記述式も区別せず、合計した成績を活用する方針です。

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