東大卒シングルファーザーの中学受験備忘録

24話 繰り上げ

2019.09.09

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堀 杜夫
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  • 公立一貫校のほか私立の一部にもある繰り上げ合格は、国内線旅客機の空席待ちに似ている
  • 序列上位の学校が繰り上げ合格を出すと、その下の学校の合格者が抜けて定員に穴が開き、さらに下の学校の合格者が抜けるという連鎖が起きる
  • 繰り上げ合格の確定を待つ受験(受検)者や保護者からすると、やきもきした時間を過ごすことになる

繰り上げ合格の功罪

都立X校の場合、9日(金)の合格発表時には定員の男女各60人しか合格者を発表しませんが、例年、入学辞退者が数人出ていました。併願していた私国立の難関校にも合格し、そちらに進む子がいるようです。その穴を埋めるため、ボーダーラインをわずかに下回った不合格者には、繰り上げ合格候補者であることと繰り上げ順位が通知され、高順位の受検生の保護者から順番に電話がかかってきて、入学の意思確認を求められるのです。国内線旅客機の空席待ちに似ていて、公立一貫校だけを受ける子どもには福音でしょう。ですが、私立への入学手続きをすませた併願組が繰り上げ合格を受け入れると、入学金20万~30万円程度を放棄することになります。繰り上げの時期が遅ければ、新調した私立の制服も無駄にすることになりかねません。その点、私立に特待合格していれば、入学金が無駄になるリスクはなくなります

繰り上げ合格の制度は、公立一貫校のほか私立の一部にもあります。受験・受検の序列の上位を占める学校が繰り上げ合格を出すと、その下の学校の合格者が抜けて穴が開き、その穴を埋めるようにさらに下の学校の合格者が抜けていく――そんな「繰り上げの連鎖」が起きてしまうのです。税金で賄われる公立中が定員を過不足なく埋めるべきだというのは、正論でしょう。しかし、多くの私立中は、過去の実績から入学辞退者数を見込んで多めに合格者を出しています。辞退者が想定を上回れば定員割れを起こし、逆に下回って入学者が定員を大幅に上回れば補助金を削減されるというリスクを負っているのです。繰り上げ合格候補者に選ばれ、いまかいまかと電話を待ち続ける保護者の気持ちもあわせて考えると、この制度には疑問を感じざるを得ません。

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なかなか確定しない公立一貫校併願組

さて、入学金や授業料の免除という「大人の事情」から、4日(日)に再挑戦した私立A校の特待選抜入試(適性検査型)でしたが、特待合格には至らず一般合格に終わりました。受けても受けなくても同じ結果だったわけです。それでも私は翌5日(月)、せっかくなので合格証を受け取りに、私立A校を再び訪れました。事務室には、すでにA校への入学を決め、リラックスした表情で手続きに訪れた親子の姿もありました。9日まで、いや繰り上げ合格候補者になると2月下旬まで、行き先が確定しない公立一貫校との併願組からすれば、少々うらやましくも感じられました。

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その朝、娘はインフルエンザの治癒証明書を持って、登校していきました。塾の受験対策の授業はもうありませんが、私がそのぶん早く仕事から帰宅できるわけでもないので、娘には中学校の数学や英語を先取りする入学準備のための授業を3月まで受けてもらうことにしました。学校では卒業式に向けた準備が本格的にスタートしたようです。春はすぐそこまで来ているようでした。(つづく)

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