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4分の1の学生が海外経験 国際ボランティア参加者数No.1 名古屋商科大

2019.08.14

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鈴木 絢子
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学生が海外などでさまざまな社会貢献活動を行う国際ボランティア。その参加者数で全国1位を誇るのが名古屋商科大(愛知県日進市)だ。選べる渡航先は欧米を中心とした約30カ国。参加しやすい制度と、さらにステップアップできる海外プログラムを整備している。(撮影/関口達朗)

世界の扉を開くきっかけに

1999年にスタートした名古屋商科大の国際ボランティアプロジェクト。夏または春の約1カ月、学生自ら選んだ国へ赴いて活動するものだ。事前に講義を受けることなどで単位も認定される。さらに往復の航空運賃を奨学金として支給するなど、学生の時間的・金銭的負担を軽減し、多くの参加を促している。

早いうちに世界を見て、常識や思い込みを打破してほしい。日本はおろか、愛知県すら出たことのない学生も多いですから」

 そう話す栗本博行理事長自身も、大学時代に英国を弾丸旅行した経験をもつ。事前の語学研修も設けているが「この国際ボランティアは、本学の多彩な海外プログラムの入り口です。だからこそ、言葉の上達を待つよりもまず行ってみることが大事」と語る。

 2017年に同プロジェクトに参加した一色日菜子さん(コミュニケーション学部3年)も、現地に行くことで大きく成長した。

名古屋商科大A
コミュニケーション学部英語学科の一色日菜子さん。国際ボランティアに参加し、外国人の友達もたくさんできた

 「英語での会話は少し不安でした。でも以前から外国に興味があって、この大学を選んだのも、海外で学ぶ機会が多く用意されているから。私はベルギーの農園に滞在し、チーズ作りや豚小屋の修繕を手伝ったり、木の剪定、川の整備などを行ったりしました」

 出発前は心細さに「セントレア(中部国際空港)で泣いた」し、滞在生活序盤では語学の壁に泣いた。だが約1カ月の間に意識が変わる。語学を超えたコミュニケーションの楽しさに目覚め、帰国後は外国人の教員とも積極的に話すようになったそうだ。

これまでに1千人以上を世界へ送り出しているが大きなトラブルはない。活動期間中は、担当職員が個々の旅程をしっかり把握。さらに現地に職員を派遣し、現地ですぐにフォローできるよう万全を期している。

 「1位はうれしいですが、ただ人数を増やしたいわけではありません。安全性と経験の質を重視しています」(栗本理事長)

「多彩な海外プログラム」とは

国際ボランティアは1、2年生が対象だが、その先には生を対象とした海外インターンシップ制度がある。昨年度は約150人が、ASEAN諸国の日系企業などで海外ビジネスを体感してきた。

 同大学の学生支援部門・教務担当チームリーダーの石井博巳さんは「ボランティア活動で視野が広がると、好奇心にドライブがかかるのでしょう。多くの学生が再び海外プログラムに参加します」と話す。一色さんもその一人で、2年の夏には再び日本を発ち、タイでのインターンシップに参加してきた。苦手な英語も「選抜の条件になるので」とTOEICのスコアを400点台から600点台まで上げた。この秋はもう一歩進んで、カナダの提携大学へ語学留学する。TOEICはさらに800点をめざすそうだ。全体の実に4分の1にあたる学生が、卒業までになんらかの海外プログラムを経験する

学生支援部門で国際交流担当を務める職員の早川周兵さんは、名古屋商科大のOBだ。学生時代には同プロジェクトでアメリカへ渡った。到着空港至近のホテルを予約していたつもりが、着いてみれば、ホテルはまったく別の空港の近くだった。大学職員とも連絡を取りながら、3時間ほどかけてホテルへ向かうという貴重な体験をした。

 「失敗もしましたが、それを乗り越えられたことで根拠のある自信がつきました」

 問題解決力が培われた実感から、いまは手助けする側として後輩たちの背中を押す。

名古屋商科大B
栗本博行理事長(中央)と学生支援部門・教務担当チームリーダーの石井博巳さん(左)、国際交流担当の早川周兵さん(右)

タイの自動車部品を製造する企業で1カ月を過ごした一色さんは、海外での進路についても考えるようになった。

 「接客が好きだったので、以前はCA(キャビンアテンダント)になりたいと思っていました。でもインターンを通して、それまで知らなかったBtoBの仕事にも興味が湧きました。いまはカナダ留学が楽しみですが、卒業後は繊維やアパレル系のバイヤーになれたらいいなと考えています」

 国際ボランティアに参加しなければ、この選択肢はなかった。海外プログラムの入り口であるボランティアの取り組みは、将来のビジョンの入り口にもなっている

グローバル基準の経営教育

名古屋商科大は2006年、マネジメント教育の国際的な評価機関AACSBの認証を受けた。学部と大学院の双方で認証を受けた教育機関としては日本初となる。教員の質や留学生の国籍の多様性など、学生生活に直結する項目もチェックされ、5年ごとに継続のための審査もある。この取り組みについて栗本理事長は語る。

 「国際認証を受けることで、海外の大学にとって本学の評価がわかりやすくなります。これにより、世界の多くの大学と提携することが可能になったり、優秀な外国人教員が採用しやすくなったりします」

 2019年1月現在、提携する海外の大学は58カ国・地域の145校にのぼる。この幅広いパートナー校で学ぶことができるのも、同大学が誇る海外プログラムの一つだ。また、教員の4人に1人が外国人で、「大学ランキング2020」(朝日新聞出版)の「外国人教員の比率」では全国の中規模大学で2位にランクインしている(※)。

名古屋商科大C
外国人留学生を対象としたGBBA(Global BBA)の授業もある。すべてが英語で行われるハイレベルなクラスだ

 国際色豊かなアプローチはほかにもある。とくに注目を集めているのが、2016年にスタートした経営学部の「BBABachelor of Business Administration)」コースだ。大学院で取得するMBAの学部版ともいわれるもので、欧米ではポピュラーなプログラムだという。同大学では、ハーバードビジネススクールで研修を受けた教員たちが、アクティブラーニング形式で教える。予習必須の活気ある授業に、熱意のある学生が集まっている。

 大学構内は多くの外国人留学生が行き交う。なかには、本国の大学と名古屋商科大の二大学の学位が取得できる「ダブルディグリープログラム」で来ている学生もいる。海外からの受け入れだけでなく、名古屋商科大からも海外の大学で学位を取る日本人学生を送り出している。栗本理事長はこの制度を海外プログラムの最高峰と考えており、「今後も海外で学ぶ学生を増やしていきたい」と話す。

 ※規模別ランキング(学生数1000人以上3000人未満、2018年度の常勤の教授・准教授・講師の合計)

名古屋商科大D
外国人教員の質も国際認証の評価対象。同大学で教える講師は、そのほとんどが博士号を取得している

メモ

名古屋商科大学 1935年に創立された名古屋鉄道学校を前身に、53年に開学。2010年にコミュニケーション学部(現・国際学部)を設置した。学部学生数は2993人(201951日現在)。創立者の栗本祐一がカナダへ留学した経験から国際化を重視しており、フロンティア・スピリットを備えたリーダーの育成をめざす。

さしかえ)名古屋商科大グラフ

<コラム>多くの大学が学生に海外でのボランティア活動を勧めている。異文化に触れて知見を広めてほしい、さまざまな考え方を身につけてほしい、経験を将来の進路決定に役立ててもらいたいなど、大学は学生にそんな思いや期待を寄せている。国際ボランティアは、学校や下水道など公共施設の建築や修繕、遺跡の修復作業、山林での植樹、子どもたちの世話などを行う。

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