『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

勉強とサッカーを両立して成績はクラスでトップ 元・日本代表の岩政大樹さんの小学生時代とは?

2019.09.05

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桜木 建二
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2018年、ひとりの名サッカープレーヤーが、ユニホームを脱ぐ決断をした。岩政大樹さんだ。Jリーグの名門・鹿島アントラーズで長らく守備の要として活躍し、2010年のFIFAワールドカップ・南アフリカ大会では、日本代表の一員として決勝トーナメント進出を果たした。そんなトップアスリートに、話を聞いてきたぞ。というのも、岩政さんは、東京学芸大学で数学を専攻し、中学、高校の教員免許(数学)まで持っているという、異色の経歴の持ち主だからだ。

数学的思考をベースにサッカーの舞台で活躍

桜木のちに、プロサッカー選手にまで上り詰めるほどスポーツに打ち込みながら、どうやって学業との両立をしていたのか、気になるところだな? ディフェンダーとして超一流になるうえで、数学を学んだ経験が大いに役立ったとも聞くが? サッカー解説者、サッカーに関する講演活動など、幅広く活動している岩政さんのお話は、子どもたちにも、親世代にも、きっと役立つはずだぞ。

岩政:サッカー選手としての僕の原点は、自分に才能がないことへの深い自覚です。

桜木:名ディフェンダーとして広く知られた身だというのに、才能がない? そんなはずはないと思うのだが。岩政さんの生い立ちを教えてもらえないか?

子どもの頃、漠然と抱いていた将来像は「先生」

岩政生まれ育ったのは、周防大島(山口県)です。自然に囲まれた環境でのびのびと育ったので、体はよく動かしていたし、基礎体力がそこで養われたという面はあります。

両親ともに教師だったので、やることはちゃんとやりなさいという真面目で教育熱心な家庭でした。テレビゲームはやらせてもらえなかった。それで、学校から帰ると山や海で遊んでいましたね。

小学校でサッカーを始めたんですが、島のチームだと県大会などに出られなかったので、高学年になると島の外のクラブチームでサッカーをするようになりました。

周りは自分よりうまい子だらけでした。自分はなんとかギリギリ試合に出られるというくらい。サッカーが自分に向いているともあまり思わなかったし、サッカー選手を目指すなんて少しも思いませんでした。もともと現実的な性格で、大それた夢を抱くようなことはあまりしないんです。

それはかえって幸いでした。「自分はけっこういける!」と早いうちに思ってしまうと、どこかで壁にぶち当たったときに、挫折して立ち止まってしまいがちですから。

両親の影響と、人に何かを教えることが好きだったので、将来は教師になれたらいいなという感覚でいました。それでふつうに勉強もするし、サッカーもするという生活を送ることに。ただし、僕は極度の負けず嫌い。どんな試合でも勝ちたいし、プレーの一つひとつでも負けるのはイヤで、練習には真面目に打ち込んでいましたよ。

サッカーと勉強をしっかり両立させていた小学生時代

桜木小学校時代の岩政大樹さんは、サッカークラブへの参加と学校の勉強をきちんと両立させていた。当時の得意科目はやっぱり算数だった?

岩政:そうですね。ただ、どの教科もテストでいい点はとれていました。決してガリ勉タイプではなかったし、勉強にあまり時間をかけてはいなかったけれど、取り組むときは真剣にというスタンスでした。

たしかに小学校時代の成績はクラスで1番でしたけど、同級生6人のうちの1番ですから。狭い世界での話です。島にいると山口や広島だってはるか向こうという感覚で、ましてや日本とか世界とか、そんな広い世界は想像もできない環境。だから自分がどれくらいのレベルでやれているかなんて、勉強にしろサッカーにしろ、本当にわかりませんでした。

ただし、僕は、やらなくてはいけないことを後回しにするのは苦手。イヤなことを抱えているストレスに耐えられないんです。勉強は好きじゃなかったとはいえ、やらなければいけないことだとは思っていた。だったら授業は集中して受けて、そこですべて済ませてしまおう、家に帰ってからの楽しい時間を削るなんてもってのほかだと考えて、実践して、宿題だって溜め込まず、空いた時間を活用して済ませるようにしていました。

通学時間に宿題を片付けていた高校時代

桜木地元の中学校を経て、山口県立岩国高校へ進んでも、サッカー部に所属し、文武両道は相変わらずだったそうだな。

岩政:地元の山口大学か広島大学へ進んで、数学の教員免許をとって教師になり、子どもたちにサッカーも教えるという将来像を描いていて、それ以外考えたことはありませんでした。

勉強は「やらなくちゃいけないこと」と考えていたのも、小さいころのままです。やらない、サボるというのは単なるわがままなので、生活のどこに勉強を組み込むかを考えました。

僕は通学時間をメインの勉強時間にしました。学校まで片道1時間半かかるので、行き帰りの車内でその日の予習復習をひと通りやる。あとは授業のあいだの休み時間も。ここでは宿題を終わらせてしまうんです。1日分の宿題なんてたいした量じゃなくて、すぐにやればあっという間に済みます。3つ4つと溜め込んでいくから負担になるんですよね。

家では好きなテレビドラマも観たいし、そもそも毎日サッカーの練習があるからすぐ眠くなる。だったら帰るまでに勉強は済ませておかないとどうしようもない。通学中や休み時間に勉強していると、周りにはやし立てられたり、うわさになったりしますけど、自分にとってその生活パターンがいちばん楽で合っているのだから、気にはしませんでした。

桜木:次回は、岩政さんがどう大学受験に取り組んだかを教えてもらうぞ。

 (ライター・山内 宏泰)

※この連載の最新版は、LINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)で読めます。

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話を伺った人

岩政大樹さん

いわまさ・だいき 1982年130日、山口県周防大島町生まれ。元サッカー日本代表、サッカー解説者。東京学芸大学教育学部(B類数学専攻)卒業。小学校2年生からサッカーを始め、大学の蹴球部在籍中に注目を集める。2004年、鹿島アントラーズ入団。その後、プロサッカー選手として海外、J1、J2等で活躍する。10年、FIFAワールドカップ・南アフリカ大会では日本代表に選ばれる。18年いっぱいで、現役を引退。

『ドラゴン桜2』
作者は漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したものの、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。学校理事として加わった弁護士・桜木建二が淡白な「現代っ子」たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに制作されていて、漫画を通じて実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。2018年1月から、雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。2003~07年に同誌で連載したパート1は、廃校寸前の龍山高校に通う偏差値30台の高校生が、1年で東大に合格する姿を描き、話題になった。

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