ゼロからわかる! 2020大学入試改革 おさえておきたいポイントを解説

大学入学共通テストの国語 記述式問題の自己採点はどうすれば? 出願への影響は

2019.09.04

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増谷 文生
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2020年度から大学入試は大きく変わります。何がどう変わり、どんな準備が必要なのか。新しい入試制度で受験することになる中高生や保護者のみなさんの疑問に、朝日新聞社会部で大学入試や教育問題を取材する増谷文生記者がお答えします!

2020年度から始まる大学入学共通テスト(初回は2021年1月実施)では、国語の記述式問題はどのように採点するのですか。

全問がマークシート式問題だったセンター試験は、大学入試センターが読み取り用の機械を使って採点していました。共通テストもマークシート部分は同じように機械で採点しますが、記述式問題については、民間業者が請け負って採点します。
2017年度の1回目、18年度の2回目の試行調査とも、入札で請け負ったベネッセコーポレーションが採点しました。本番の共通テストを採点する業者も先日、ベネッセのグループ会社に決まりました。50万人程度が受験すると、1万人程度の採点者が必要になりそうです。

■第2回試行調査での記述式問題の採点に関する流れ(イメージ)

T記述式採点のイメージ.jpg
大学入試センターの資料から

採点は機械で行うのではないのですか。

まず答案を専用の機械でスキャンして採点者に送ります。採点者はパソコンに映し出された答案を見て、各問題の内容や書き出しといった正答の条件をどのくらい満たすかを確認。2回目の試行調査では、1問ごとに「a(完全正答)」から「d(無解答)」まで4段階で評価しましたが、本番では「a(完全正答)」から「c(不正解)」の3段階で評価します。さらに、3問の結果を合わせて、「A」~「E」の5段階で総合評価をはじき出します。

採点者によって判断が変わらないか不安ですね。

そうした「ズレ」が出ないように、入試センターなどは採点方法を工夫しています。試行調査では、一つの答案を2人が採点し、結果が一致しない場合は上の立場の判定者と話し合って判断する方法をとりました。さらに入試センターが一部の答案を抜き出して、採点結果をチェックしました。2回目の試行調査では、入試センターがチェックした国語の答案のうち0.3%の結果が補正されて評価が変わりました。
入試センターは本番までに、さらに採点の精度を上げる方法を研究するとしています。今年11月には採点作業を確認するため、本番で請け負う採点業者も参加し、1万人の高校生らの協力を得て「準備事業」を行います。

採点に手間がかかると、結果が出るまでに時間がかかりそうですね。

確かにマークシート式に比べて、記述式問題の採点には非常に時間がかかります。このため、共通テストの成績を大学に提供する時期は、センター試験の時より1週間遅くなります。2021年1月16、17日の第1回共通テストは、入試日程が早い私大には2月9日から、国公立大には2月11日から送られます。

センター試験と同じように、受験生は自己採点を出願に使うのですか。

その通りです。しかし、試行調査では、国語の記述式問題で自己採点と入試センターの採点とのズレの大きさが問題になりました。例えば自己採点で「b(一部正答)」としたものが、実際には「a(完全正答)」だったといったケースが相次ぎました。
1回目の試行調査で一致しなかった率は3問で21.2~30.5%。入試センターは改善のために作問や正答の条件を工夫して2回目に臨みましたが、結果は28.2~33.4%と悪化しました。不一致率が高いと受験生は不安になり、実力より水準を下げて出願する傾向が強まりそうだと心配されています。

■自己採点不一致率の変化

問1 問2 問3
国語1回目 27.3 21.2 30.5
国語2回目 30.2 33.4 28.2
問(あ) 問(い) 問(う)
数学1回目 10.6 4.0 7.2
数学2回目 6.6 14.7 10.2

(表中の数字は%)(表は左右にもスクロールします)

点数がわからないと出願にも影響します。そんな状態でいいのですか。

入試センターは、どこまでを正答と判断するかの基準が、生徒に周知できていなかったことが原因とみています。今後、表現の言い換えがどこまで許されるのか、といった点をわかりやすく示した冊子を受験生や高校に配り、不一致率を下げたいとしています。

各大学は総合評価で示された成績を、入試でどのように使うのですか。

大学の判断に任されています。ただ、国立大学協会は、総合評価の「A」~「E」をAは40点、Bは30点などと段階ごとに得点に換算して加点する際は、その点数を、最高でもマークシート部分と合わせた国語全体の「2割程度」とするといった目安を示しています。京都大や北海道大、名古屋大、大阪大、九州大などは加点する方針です。
早稲田大は政治経済学部は活用しませんが、国際教養学部は加点。法政大や立教大、上智大、関西学院大も共通テストを利用する入試で加点します。首都大学東京(2020年4月から東京都立大)や大阪市立大、関西大などはどのように活用するか検討しています。

■国語記述式問題の成績活用方法

活用法 方針を公表している主な大学
得点換算してマークシート式問題の点数に加点 北海道大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大、早稲田大国際教養学部、※上智大、※立教大、※法政大、※関西学院大
活用(詳細未定) 首都大学東京(2020年4月から東京都立大)、大阪市立大、※関西大
同点で並んだ際のみ合否判定に利用 東北大
活用しない 早稲田大政治経済学部

(※は共通テストを利用する入試の方針)

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