子育て世代のお金ナビ

教育費は学資保険に任せておけば安心?貯蓄と保障は分けて考える

2019.08.15

author
坂本 綾子
Main Image

子育て世代のお金の悩みに、子育て世代のファイナンシャルプランナーがお答えするコラムです。

学資保険が「正解」ではない 元本割れする商品も

教育費の準備とともに子育て世代を悩ませるのが、万が一のときの備えでしょう。教育費を有利にためながら万が一にも備える……というイメージのある学資保険ですが、それが通用したのは2000年代の初めまで。低金利時代は、「貯蓄」と「保障」を確保する手段は大きく変わっています。

結論から言うと、学費の準備が目的なら、必ずしも学資保険を利用する必要はありません。

 ここで学資保険の仕組みを確認しておきましょう。学資保険には「貯蓄」と「保障」の二つの機能があります。満期(子どもが18歳になったときなど)には決まった額の給付金が受け取れ(=「貯蓄」)、万が一、満期前に契約者(保護者)が亡くなるとその後の保険料の支払いが免除され、給付金が受け取れます(=「保障」)。つまり、学資保険の「保障」は、保険料支払いの免除なのです。

学資保険は保険料で「貯蓄」と「保障」を満たし、さらに保険会社を運営する経費もまかないます。学資保険は、お金の増え方でいえば固定金利(満期まで当初決めた金利が適用される)タイプの商品です。つまり金利が高いときに入った方が有利なのです。

特にここ数年は学資保険の貯蓄機能は大きく低下して、元本割れするものもあります。保障機能を手厚くするために、親が亡くなった後に育英年金がもらえるタイプもありますが、その分、保険料は高く、貯蓄機能はより低下します。保険会社が高利率で運用できたときに契約者に還元する契約者配当金が付く商品もありますが、運用次第なので配当があるかどうかは不確実です。

貯蓄と保障は分けて考え、最低限必要な保障を割安の保険料で

「貯蓄」と「保障」は分けて考えましょう。

親に万一のことがあったときの備えは、最低限必要な死亡保障額を、なるべく安い保険料で確保するのが鉄則です。保障は収入保障保険や定期保険で備えます。特に収入保障保険は死亡保険金を年金形式で毎月あるいは毎年など、一定額ずつに分けて受け取ることができるので、一度に数千万円単位で受け取る定期保険よりも使いやすく、かつ保険料が安くすみます。

 生計を支えている親に万一のことがあったとき、家族は公的年金からの遺族年金(18歳までの子どもがいるなら遺族基礎年金、亡くなった親が会社員や公務員なら遺族厚生年金)を受給できます。

18歳までの子どもが1人の場合、遺族基礎年金は月額で約84000円。亡くなった親が会社員や公務員なら、遺族厚生年金と遺族基礎年金の合算で月額約12万円(平均標準報酬月額35万円で25年加入、18歳までの子ども1人の場合)を受け取れます。これに勤労収入を足せば生活はなり立ちそうですから、保険で備えておきたいのは大学の学費プラス予備費です。

目安は子ども1人あたり500万~1000万円夫婦と子ども2人の世帯なら、死亡保険金として2000万円程度あれば最低限の保障は確保できます。公的遺族年金が少ない個人事業主世帯や家賃を支払う必要がある世帯は、生活費不足を見越して保障額を上乗せ(年額50万円程度×子どもが独立するまでの年数)して考えるのが安心かもしれません。

すでに学資保険に加入している人は、どのようなタイプか、どんなときに、いくらもらえるかを再確認しましょう。保障が手厚いタイプなら、別途加入している生命保険(定期保険や終身保険)は死亡保険金を減らすことを検討しましょう。また、住宅ローンを組んでいるご家庭なら、通常は住宅ローンに団体信用生命保険が付いていますから、親の死亡保障額をその分減らすことができます。加入している学資保険と、ほかの保険を並べて、適切な死亡保障額になるよう減額や解約をすることで、月々の保険料を安くできる可能性があります。

子どもの成長にともない親の責任は軽くなっていきますから、子どもの年齢が上がるほど死亡保障額は減らしてかまいません。進学の節目で見直しましょう。

貯蓄は定期預金の積み立てを使うのがいいでしょう。定期預金の積み立ては一度手続きを行えば自動的にたまっていきます。固定金利の定期預金も、毎月の積み立ての場合は積立時点の、自動継続時はその時点の金利が適用されます。今後金利が上がれば、上がった金利で積み立て・継続が行われます。

収入増は親の人生にもプラスになる

 子どもの年齢が上がり、教育費の準備が進まないまま「ため時」が終わりそう、または終わってしまった方は、収入を増やすことも検討しましょう。

 節約で貯蓄を増やすのも大事ですが、月に数万円単位で収入が増えるなら、もっと大きな家計改善につながります。パート年収100万円でも、10年働けば1000万円になります。仮に、専業主婦だった妻が40歳から60歳まで年収100万円で働けば、世帯収入は2000万円の増加です。お金が足りないから、住宅ローンの返済や教育費のために仕方なく働くのではなく、親自身が自分の将来のために働く、と発想を転換してみませんか?

 子どもの教育費を払い終えた後も人生は続きます。取捨選択して不要な支出を減らし、必要なことにはお金を使う、さらに働くことで収入を増やし、これを継続していくことができれば、家計の安定度は高まり、子育て後の暮らしも充実します。

 

本日の結論

  • 低金利時代、子育て世代の「貯蓄」と「保障」の確保手段として学資保険が最適とは言えない
  • 学資保険に加入するなら、元本割れにならないか、死亡保障額が適切かなどを要チェック
  • 節約で貯蓄をふやすだけでなく、自身のためにも働き、収入を増やすと家計の安定度は高まる

お悩み募集

コラムで採り上げてほしいテーマを募集しています。相談内容をできるだけ具体的に書き、メールでEduA編集部にお送りください。掲載は匿名です。すべての相談に応じることはできません。ご了承ください。
メールはこちらから

Latest Articles新着記事