わが子と学ぶSDGs

好奇心が学力向上にも? 夏休みはSDGsの課題を「自分ごと化」して学習してみよう

2019.08.06

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山下 茂
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SDGsとは、Sustainable  Development Goals(持続可能な開発目標)の略。スローガンは「誰一人置き去りにしない」。 世界や社会とのつながりを知り、課題を「自分ごと化」する学びとして注目され、入試での出題例も増えています。学びを通じて、どのような力がつくのでしょう。この春まで4年間、埼玉県上尾市立東中学校で「グローバルシティズンシップ科」の研究主任を務めた松倉紗野香教諭(39)に聞きました。

話を伺った人

松倉紗野香さん

中学校教諭

まつくら・さやか/埼玉県上尾市立大石中学校教諭(英語)、認定NPO法人開発教育協会(DEAR)理事。2019年4月から上智大大学院総合人間科学研究科(教育学専攻)博士前期課程で学んでいる。1979年、埼玉県生まれ。

上尾市立東中では、総合的な学習の時間を組み替えて「グローバルシティズンシップ科」を編成し、3年間を通してSDGsに関連した学びを深めていました。

SDGSのロゴ
SDGsとは
Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年9月の国連サミットで採択された。スローガンは「誰一人置き去りにしない」。30年までの達成を目指し、17分野の目標(ゴール)と169の具体的なターゲットを設けている。 20年度から順次、実施される新学習指導要領でも、児童・生徒が他者を尊重し、多様な人々と協働しながら「持続可能な社会の創り手」となることを求めている。

学年ごとに学習目標があり、1年生は新聞記事やワークショップなどで、世界の課題を「知る」ことから始めます。2年生は職場体験や社会課題に関わる専門家への訪問活動を通して、社会との関わりを「考える」。そして3年生は、「行動する」。1、2年生で学んだ、資料を集める力、問いを立てる力、まとめる力を生かし、地元・上尾市の課題を探り、子育てや介護、ごみ処理などのテーマごとに、持続可能なまちづくりに向けた提案をします。

好奇心が喚起されると、生徒たちは教科の枠を超え、主語を自分に置き換えて考えるようになります。

英語の授業で地球環境や国際理解をテーマにすると、自分から理科の資料集や地図帳を開いて確認する。ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんに手紙を出すなら、という課題を与えると、「もし私だったら……」と書き始めます。

好奇心を引き出すうえで大切なのは、「これをやりたい」という自己決定を大切にすることです。子どもの意見を否定せず、周りが受け入れる工夫をすることで、自分から次の問いが出るようになります。問いが生まれれば対話が成り立ち、主体的な学びにつながります。

取り組みを始めてから、東中では英作文など記述式の問題であっても、白紙の答案がほとんどなくなりました。授業のアンケートを見ても、「世界の課題解決に向け、自分にもできることがある」「自分は価値のある人間だと思う」「将来に対し、はっきりした目標をもっている」といった選択肢を選ぶ生徒が増えました。探究学習は子どもたちのやる気を高め、学力の向上にもつながります。

夏休みは子どもと触れ合う時間が増えます。SDGs が解決を目指す世界各地の課題に目を向け、親子で話してみてください。

たとえば、香港の若者がデモに参加するニュースを見て、原因は何だろう、なぜ日本では起きないのかと考えてみる。大人が疑問に思うことは、子どもも疑問に思います。大人だって知らないことはある。一緒に調べてみてください。きっと、好奇心を引き出すきっかけになるはずです。

夏休みに親子でSDGsにチャレンジ!~松倉さんの提案から~

(1)まずは子どもの教科書を読んでみよう
教科書にはSDGsを意識した題材がちりばめられています。子どもが何を学んでいるかを知ることから始めましょう。
(2) 1学期の学びを振り返ろう
子どもと教科書を広げ、1学期の学習で疑問に思ったことや発見したことなどを話し合ってみましょう。
(3) 疑問に答えるイベントを企画しよう
映画鑑賞や博物館めぐり、旅行など、子どもの疑問や関心に沿ったイベントを企画し、一緒に楽しみましょう。
(4) 本を読んで一緒に調べよう
気になっているテーマに関連した本を読み、分かったこと・分からなかったことをまとめてみましょう。
(5)エッセーコンテストに挑戦しよう
国際連合世界食糧計画WFP協会の「WFP チャリティーエッセイコンテスト」(小学4年生以上)や、国際協力機構(JICA)の「国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト」など、SDGsを意識した文章の作成に挑戦してみましょう。

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