「しゅくだいやる気ペン」で親のイライラが解消? 子どもの努力を見える化するペンを使ってみた
2019.07.19

毎日の宿題がストレスになっている親子は少なくないはず。IoT技術を使ったコクヨの新商品「しゅくだいやる気ペン」はそんな親子の救世主となるのでしょうか。宿題山盛りの夏休みを前に、記者の家庭で試してみました。
苦手な漢字を「まだやる!」
小3の息子は「宿題はやらなくてはいけないもの」という意識はあるものの、毎晩取りかかるまでに時間がかかり、母である私はイライラ……。特に漢字には苦手意識があるようで、なかなか進みません。
そんな息子のためにお借りしたのが、その名も「しゅくだいやる気ペン」。
「代わりに宿題をやってくれるペン? やったー、ドラえもんのひみつ道具みたい!」と喜ぶ息子。違うよ、君にやる気を出してもらうペンだよ……。息子は少しがっかりしたものの、興味はもった様子です。
たまたま宿題のない日だったため、夏休み用に用意した漢字ドリルを一足早くやってもらうことに。普段から使っている鉛筆に器具を装着し、勉強を始めました。
5分ほど書き続けるとペンに付いたライトが緑から黄色に変化。さらに10分ほどやるとピンク、オレンジを経て赤に変わりました。「まだやる!」と息子。大嫌いな漢字ドリルなのに……。色がどんどん変わるのが面白いようです。

スマートフォンにあらかじめダウンロードしておいた専用アプリを開き、ペンを近づけると、ペンにたまった「やる気パワー」がじょうろの水のように注がれ、アプリの中の木が育ち、実をゲットすることができます。ゲットした実の数だけ、すごろくの駒を進められ、ゴールにたどり着くと、ごほうび(我が家の場合は、息子の大好きな鉄道の本に設定)がもらえる仕組みです。すごろくの途中で「レアアイテム」が出ることもあるといい、ゲーム好きの子どもにもウケそうです。
ちなみに、ペンは筆記時の振動を読み取るので、たとえ悪知恵の働く子どもが振り回したとしてもパワーはたまらないとのことです。

子どもの宿題を見ると、つい間違っているところに目が行き、叱ってしまいがち。でも、このペンなら子どもの努力が“見える化”するので、自然に「頑張ったね」とほめることができます。子どものやる気がさらにアップするかもしれません。
「やる気出たよ」と息子。「これからは自分から進んで宿題できる?」と聞くと、少し考えた末、「まあ、スピードはちょっと上がるかな」。
翌日、息子が自ら「宿題やる」と言い出すのを待っていたものの、一向にその気配は見られず。やはり「自ら宿題をやる」という効果は、息子にはなかったようです。
代わりに「やりたい」と言い出したのは、小1の娘。こちらはいつも学童保育で宿題を済ませてくるタイプなので、「しゅくだいやる気ペン」は必要ないのですが……。
自ら「やる」とは言い出さなかった息子ですが、いざ始めると2日目も楽しそう。本人の言葉通り、スピードは上がっています。
子どもの文具としては気軽に買える値段ではないけど、宿題にかかる時間が短くなるならいいかも、と我が家は購入を検討することにしました。
“書くこと”好きになって
開発を担当したのはコクヨ事業開発センターの中井信彦さん。「ノートのメーカーとして、子どもたちに“書くこと”を好きになってほしいという思いがあった」と話します。
2016年に開発を始めた当時は「IoTペン」という名前だったそうです。でも、それではICT(情報通信技術)リテラシーの高い人にしか興味をもってもらえないのではないかと感じ、「ダサくても、パッと分かってもらえる」として「しゅくだいやる気ペン」と名付けたといいます。
また、ユーザー目線の一環で、クラウドファンディングで募った親子21組と昨年10月に「企画会議」を開き、意見を出してもらったというのもユニークなところ。この会議を経て「いかに親子のコミュニケーションをうまく回すかということに力点を置けるようになった」と中井さんは話します。
親子86組のモニター調査では、約8割が「子どもが自ら家庭学習するようになった」、約9割が「実際に子どもをほめる回数が増えた」と答えました。
今のところ、アプリ上のすごろくは18ステージで終わりですが、要望があれば追加を検討したいそうです。
対象は小2~4が中心。小1は「まだ宿題に困っていないから」、小5以上は「親から離れていく時期だから」外したといいます。
4980円(税抜き)。専用アプリ(iOS版のみ)は無料。商品サイトはこちら。コクヨ公式オンラインショップ「コクヨショーケース」で発売中ですが、コクヨ広報室によると「現在、ご注文やお問い合わせが殺到しており、お待ち頂いている状況です」とのことです。
【問い合わせ先】コクヨお客様相談室 0120-201-594 平日午前9時から午後5時まで 土・日・祝日・年末年始・夏季休暇期間を除く
