連載・親子で「考える」を動かそう! SDGs編

(第1回)今回のテーマは「自分は未来をどうつくるか」 芝浦工業大学付属中・理科

2019.08.08

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日能研
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中学入試ではときに、大きく深いテーマを扱った問題が出ます。SDGsSDGsSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年9月の国連サミットで採択された。スローガンは「誰一人置き去りにしない」。30年までの達成を目指し、17分野の目標(ゴール)と169の具体的な目標(ターゲット)を設けている。 20年度から順次、実施される新学習指導要領でも、児童・生徒が他者を尊重し、多様な人々と協働しながら「持続可能な社会の創り手」となることを求めている。と深いつながりを持つものも少なくありません。今回から始まる日能研の新連載コラム「親子で『考える』を動かそう!」ではまず「SDGs編」として、これらに関連する中学入試問題を順次、ご紹介します。

あらかじめ準備できるような模範的な「正解」はありません。世界の課題を「自分ごと」として考える人になってほしい――。そんな出題校の思いが込められている入試問題に触れて、親子でアタマとココロを使って、「考える」を動かしてみませんか?

1回目は芝浦工業大学付属中(東京)の問題です。テーマは「自分は未来をどうつくるか。」 問われているのはあなたの未来です。

芝浦工業大学付属中 2019年/理科

(図)は、ウミガメが食料としているクラゲの写真です。近年、ウミガメが海洋にただよっているビニール袋をクラゲとまちがえて食べてしまい、それが原因で死んでしまうことが問題となっています。ウミガメをそのような被害から救うためにどのようなビニール袋をつくればよいと思いますか。あなたの考えを50字以内で答えなさい。ただし、ビニール袋として通常使用できる便利さは失わないものとします。

クラゲの写真1

日能研の解説

一見、どんなことを書いてもよい自由な問いのように見えますが、「50字以内」という字数とともに、「ビニール袋として通常使用できる便利さは失わないものとする」という条件があります。ですので、例えば「水にとけるビニール袋」と答えると、生鮮食品などを入れるときに使えないので、条件に合わなくなります。

これまではビニール袋(ポリ袋)をなくすためには……という課題解決の方向で考える問題が多く見られましたが、昨今はこの問題のように、“未知の課題”に対しても、知識や考え方をもとに、自分なりに考え続けてほしいという問題が増えてきています。この背景には、世界全体のさまざまな課題と向き合い続けるチカラをつけてほしい、「自分は未来をどうつくるか」を考えられる人になってほしい――。そんな私学の思いが込められています。

海にビニール袋を流出させないための方法や、ビニール袋を使わないようにするための方法を検討しますか? でもこの問題では、「どのようなビニール袋をつくればよいか」が問われています。したがって、仮に海に流出したとしても、ウミガメに被害が及ばないようにするためのビニール袋を考える必要があります。

ウミガメがクラゲとまちがえないためにどうすればよいか……、ウミガメが食べてしまったとしても害がないようにするためにはどうすればよいか……など、方向性はいくつも考えられるでしょう。

ウミガメ

また、「ビニール袋として通常使用できる便利さは失わないものとします」という条件があるため、普段の生活でビニール袋を使う場面を思い浮かべて、自分の考えたアイデアを実現したときに不具合が起こらないかどうかを検討する必要があります。

環境をテーマにした入試問題は、これまで社会的な視点からアプローチするものが多かったのですが、この問題は理科(科学)的な視点からアプローチしています。「プラスチック汚染」は、まさにSDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に向けて、第一線の科学者や研究者たちが取り組んでいる課題のひとつ。科学者と同じ目線で考えることを通して、「海洋汚染に関心を持ってほしい」というメッセージを感じることができます。

この問題に取り組むことによって、子どもたちが環境保全や生態系に興味や関心を持ち、今後さまざまな未知の課題に出合ったときに、課題を「自分ごと」としてとらえていくきっかけになることでしょう。

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