国語のチカラ ~読解力アップの教科書~

麻布、女子学院…。入試で急増する記述問題、点が取れない原因は?パターン別攻略法

2019.08.08

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南雲 ゆりか
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首都圏中学入試の国語では、記述問題は出題されるのが当たり前になったといってよいでしょう。記述問題とは、素材文をふまえてまとめたり、自分の言葉を付け足したりして答えるものを指します(ここでは、書き抜き問題のように素材文をまるごと写すものは含みません)。

四谷大塚によると、2019年度の首都圏中学入試の読解問題(小問)における記述問題の割合は、およそ5問に1問でした。これまで記述問題を出していなかった共立女子中学が17年度から導入を始めましたが、ほかにも、すべての設問を記述問題に切り替えた学校や、記述問題の出題数を増やした学校もあります。

おそらく、大学入試改革の影響なのでしょう。小学生のうちから、きちんと文章を書く練習をしてきてほしいという中学校側の期待がうかがわれます。

一方、「記述問題でなかなか○が取れない」というのは、ほとんどの受験生に共通の悩みではないでしょうか。南雲国語教室にきている子どもたちのようすを見ていても感じます。今日は、その原因と対策についてご説明します。

一口に「記述ができない」といっても、原因はそれぞれ異なります。考えられる原因を、症状の重い順に並べてみましょう。

南雲コラム12

まずは、お子さんの模試などの答案を見ていただき、どの段階でつまずいているのかを分析してください。

 (1)の対策

(1)は、できることが前提です。もし、ここでつまずいているようでしたら、いつもお話ししている「読書」を通じて、読む練習をしていただきたいと思います。

 (2)、(3)の対策

(2)、(3)は、ある程度読めているのに、答えがピント外れになっているということです。本文に根拠を求めず、自分の頭の中で思いついたことを答えてしまっている疑いがあります。記述問題はいわば「借り物競走」。以下の作業を習慣づけましょう。

 【「借り物競走」の極意 】

① 問題の意味するところを把握する(借り物競走でいうところの「お題」を理解する。例えば、「青い服を着た人を連れてきなさい」など)。

② ①に沿う部分を素材文から探して〈 〉などの印をつける(借り物競走なら、会場にいる人たちの中から、「青い服を着た人」を探し出す)。

 ここまでできれば、半分成功したようなものです。少なくとも△まで持ち込めて、中間点を取ることができます。

この次の段階が問題です。素材文から探し出した該当箇所を使ってどのようにまとめるか? 記述問題にもいくつかのパターンがあり、それらに応じて答えの書き方も変わってきます。「このパターンが出てきたらこの書き方」というように、慣れてしまうことが得策です。

【 よく出る記述問題の出題パターンとまとめ方 】

A: 文中の語句だけで書ける

例)問:「情報社会」の問題点として筆者が挙げていることを答えなさい。

基本的に、素材文から該当箇所を探してまとめます。複数の箇所をつなげることもあるでしょう。長い部分は縮めるだけです。このパターンは、レベルとして一番易しいものです。

B: 文中の語句に自分なりの言葉も加える

例)問:「みんなの中から笑い声が起こった」のはなぜですか。

素材文から「ことがら」を探して、自分で考えた心情語を付け足して答える、「心情説明」です。細かすぎる具体例を抽象化した言葉におきかえたり、はっきりしない表現を具体的な言葉で説明し直したりする問題もこれにあたります。

C: 解釈した内容を自分の言葉で書く

例)問:「夕日が沈んでいく」とはどんなことを暗示していますか。

比喩表現や象徴表現の解釈です。素材文に明示されていないことを答えるので、難度は上がります。解釈とはいえ、何でもありというわけではありません。身の回りの常識や約束事を知らないと、とんちんかんな答えになってしまいます。たとえば、「夕日が沈んでいく」のを「これから新しいことが始まるという希望にあふれた展開」と答えれば、不正解となるでしょう。

D: 条件作文(意見・経験)

E: ことがらの説明

中学入試の国語で最もよく出題されるのはAとBです。Cは出さない学校もあります(また、Cだけを出す学校もありません)。ですから、最優先で取り組みたいのは、「A、Bレベルの問題パターンに対応する力」=「文中の語句を適切に使って答えをまとめる力」をつけることです。ちなみに、DEも出題する学校はごく限られていますので、ここでは説明を割愛します。

南雲コラム12

 (4)の対策

あともう一歩で〇がもらえるのに……と、残念なのが、上記「記述ができない」原因の(4)ですね。文章の内容が理解できていて、答えの場所も見つけたのに、記述がうまくいかないのはなぜでしょうか。

〈原因1〉自信がなくて書くのをためらう。頭の中で完成させてから書こうとする

まちがえることを嫌がるお子さんによく見られます。答えが見えていても、きっとちがうだろうとあきらめてしまうのです。まずは、模範解答のような解答でなくてもよいことを伝えましょう。同じ年齢の子と勝負をするのですから、上手でなくていいのです。

下書きがわりに本文に書き込みをする方法や、問題用紙の余白に下書きをする方法を教えて、すぐに手を動かして頭の中で考えていることを文字化するように仕向けてください。

〈原因2〉書いているうちに設問と対応しなくなってしまう

夢中になって答えを書いているうちに、問いと対応しないことがらで書き終えるケースです。よくあるのが「なぜ」と聞かれているのに「~こと。」で終える。あるいは、「気持ち」を問われているのに「~から。」で書き終えるような間違えです。

これは、単なるミスとして見過ごしてはいけません。書き終えたら問いを読み返す、という作業を習慣づけてください。他教科にもいえることですね。

また、「悲しかったのはなぜですか。」という問いに対して「~悲しかったから。」、「心の架け橋とはどういうことですか」に対して「~架け橋になっているということ」というように、オウム返し型の解答になってしまうケースもよく見かけます。やはり、最後にもう一度、問いを確認する習慣をつけてください。

〈原因3〉答えに直結しない内容をだらだら書く

 外堀を埋めたのはいいけれども、本丸に到達する前にゲームオーバーになるような解答です。とにかく書かなくちゃと、手を動かすのはよいのですが、本丸を見定めていないので肝心なことが書き切れません。労多くして、功少なしです。

ポイントは、答えは何かを先に決めることです。それを最後に書くようにし、そこに至る必要事項に絞って書くようアドバイスしてあげてください。

たとえば、「日本の自然観を西洋の自然観と比較して説明しなさい」という問題に対して、「日本では人間を自然の一部とみなすが、西洋では人間が自然を支配するものと考える。」と答えてしまうようなケースもよく見かけます。問われているのは「日本の自然観」ですから、「西洋では~だが、日本では~だ。」と、日本のことは最後に書かなければいけません。「一番大事なことは最後に」という鉄則をたたきこみましょう。                                                                  

今回は、「記述ができない」原因と対策にアプローチしました。さらに、文章が正しく書ければ鬼に金棒です。次回は、「文章を正しく書くためのコツ」についてお話しします。

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