夏にはぐくむ理系脳

夏休みの自由研究、昆虫採集が理系進学のきっかけに?子どもを伸ばす取り組み方とは

2019.07.24

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斉藤 純江
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夏休みの定番といえば昆虫採集です。放し飼いも含め、自宅で十数種類、100匹以上の虫を飼育する東京都大田区の私立高3年、新井麻由子さん(17)に、虫の魅力を尋ねました。

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黒い毛虫の入った容器を手にする新井麻由子さん

「今朝、学校の廊下にいたのを捕まえました。連れて帰って、羽化まで見届けます」。新井さんは会うとすぐに、プラスチック容器に入った黒い毛虫を見せてくれた。自宅ではナナフシやタマムシ、チョウなどを飼っている。なかでもお気に入りはナナフシだ。あまり動かなくておとなしいナナフシは、放し飼いにすることもある。「『のどが渇いているのかな』と霧吹きで水を吹きかけると、喜んでいるのが伝わってくる時があります」と、うれしそうに話す。

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ナナフシ(資料写真)

母の由希さんによると、新井さんはよちよち歩きのころから、虫をじっと眺めてご機嫌でいることが多かった。両親はともに虫が大の苦手で、虫好きをやめさせようとしたこともある。だが、幼稚園や小学校の先生から「興味は変えられない。応援してあげて」と諭され、諦めたという。

虫と触れ合うため、小学4年生からは夏休みや春休みに、マレーシアの高原やボルネオ島に出かけている。毎年夏の自由研究も、テーマは虫。ナナフシのフンや脱皮した抜け殻を観察したり、産卵の回数を数えたりしてきた。

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ボルネオ島で巨大ナナフシと触れ合う新井麻由子さん=本人提供

飼っていた虫の行動に疑問を感じて図鑑などで調べたが分からず、思いつく限りの博物館や昆虫館に電話して問い合わせたこともある。答えが得られなくて諦めかけたころ、話を聞いてくれる大学の先生が見つかり、ヒントをもらった。「知りたいと思ったら、諦めない気持ちと根気が大事です。周囲の大人も子どもの小さな疑問を聞き逃さず、キャッチしてほしいですね」と力を込める。

同じ虫を飼い続けていると、ライフサイクルのすべての場面に立ち会えるのも魅力だ。「虫は生まれるべき時期に生まれ、成虫になり、産卵し、しかるべき時期に死んでいきます。季節に敏感で決して間違えない。自然界の生き物には、サイクルが根づいていることを教えてくれます」

間もなく大学受験。生き物に関わる理系分野への進学を目指している。「虫を通して、いのちの尊さを知りました。大学では、もっと広い視野で生き物について学びたいと思っています」。学びたい、もっと知りたいという気持ちの根底には、幼いころ、純粋な気持ちで感動したり、疑問を感じたり、わくわくしたりした経験があるという。

母の由希さんは「親の『こうなってほしい』という気持ちは捨て、娘のやりたいことを応援することで、私自身も多くを学びました。娘には思う道を進んで、夢をかなえてほしいと思っています」と話している。

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