『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

東大受験者の必須条件! 小学生時代の計算力がモノを言う

2019.08.01

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桜木 建二
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九九や、基本的なくり上がり、くり下がりの計算は、丸ごと暗記するくらいの気持ちで臨め!そうして身につけた算数・数学の「暗黙知」が増えてくれば、初めて見る問題でも解法のきっかけが見つかりやすくなるはず。小学生時代にみがいた数の感覚は、中学、高校に進んでからも役立つ。牛瀧先生に、数の感覚を高める遊びを教えてもらったぞ!

数の感覚が身につくと拒否反応がなくなる

牛瀧九九は大人ならたいてい覚えていると思いますが、これが最も基礎的な、数についての暗黙知の元になるでしょう。たとえば、18という数字を聞いて、『この数は 2×9 とか、 3×6 になるな』とぱっと思いつけるのも、暗黙知があればこそ。これができると、小学5、6年生で出てくる分数の計算や、さらには中学校で学習する因数分解に、すんなりと入っていくことができます。

小学校では、数の感覚がわかってくると、図形の感覚も得られますし、新しい問題に触れるときの抵抗感がぐっと減って、学ぶことがかなり楽になっていくはずですよ。

桜木なるほど、こういうことだ。小学校低学年のころの計算問題を、「なんとかできる」程度で済ませてしまうと、学年が上がるにつれ、算数・数学の問題を解くのがどんどんつらくなってくる。早いうちから数の計算を徹底的にマスターし、自家薬籠中の物とするべきなのだ。そうすれば、数の感覚、すなわち暗黙知が自分の中に蓄積して、新しい単元や問題が出てきても苦にならなくなる。少なくとも数に対したとき拒否反応を示したりせず、関心と親しみを持つようにはなれるぞ。

ドラゴン桜
『ドラゴン桜』パート1から(C)三田紀房/コルク

高校での理数教科や応用力にもつながる

牛瀧算数で習うのは、数の運用のしかたです。暗黙知になるくらい、これに習熟しておくと、のちのち好影響が出ますよ。高校に入って確率の問題に取り組むときなどは、かなり大きい数の計算をします。その際には、小学生時代の計算への習熟が大きくものをいいます。高校理科でも、物理や化学でさまざまな数値を求めます。そこでは理科への理解だけでなく、計算力によって差がつきがちなのです。

数に関する暗黙知は、学習が高いレベルになればなるほど、必須となっていきます。それこそ、東京大学を受験するような人は、みな暗黙知をしっかり備えていることでしょう。

桜木東大受験の鉄則として、「基礎こそすべて」「教科書レベルの知識の徹底定着」ということがよく唱えられるな。基礎の基礎をしっかりかためていって得られる暗黙知が大切だ、という牛瀧先生のお話と、ぴったり一致しているんだ。数についての暗黙知を養うのに、いい方法はないものか?

親子で取り組める「make10(メイク・テン)」

牛瀧make10」という数の遊びをくり返しやることで、確実に数の力が身につきます。電車の切符や車のナンバープレートに書かれている4桁の数字それぞれを、足す、引く、かける、割る、の四則を使って操作して、10をつくるというもの。計算の順序を指定するカッコも使用可能です。ひとりで考えるのもよし、家族や友だちと競争するのもよし。10をつくるためにあれこれ試行錯誤することで、どんどん数に慣れていきます。

時に、どうしても10にできない並びもありますが、本当にできないのかどうかをたしかめる過程そのものも数学力になりますから、ぜひトライしましょう。基本は「+」「−」「×」「÷」と( )を使うのですが、さらには独自のルールを加えていってもおもしろいですよ。

make10のいいところは、全体と部分を同時に意識しながら考えを進められるようになることです。10をつくるという最終的な答えや目標を常に頭に置きつつ、個別の数の性質や使い方を見ていくというのは、脳の使い方のトレーニングとして優れています。

桜木これならルールの設定によってどの学年でも楽しめるし、大人も夢中になれそうだな。親子で取り組む定番にするといい。

数のマインドマップ「メモリーツリー」

牛瀧ほかにも、「数のメモリーツリー」をつくるのもいいですよ。どういうものかといいますと、たとえば『12』という数字をテーマに設定して、そこから連想するものを書き込み、図にして枝葉を伸ばしていきます。12という数字はおもしろいんです。たくさんいろいろなものと結びつきます。12進法。1ダース。3+4+5という連続する数の和であること。12時。12か月。干支。十二単。キリストの12人弟子――。

こうして数について探究していくと、暗黙知は無限に広がっていきます。数に親しみ、自在に使いこなせるようになるには、たいへん効果的です。

時代に則した数学的能力をつけることにもつながりますよ。というのも、現代は答えのないものにどう向き合うかが問われる時代。データの解析や計算などはすさまじいスピードでAIがやってくれますが、数字から関係性や意味を見いだすのはやはり人間がしなければならないし、そのあたりにこそ、人間が知を働かせる必要はあります。これからの時代に求められる力は、メモリーツリーをつくることで大いに伸ばすことができるでしょう。

 (ライター・山内 宏泰)

※この連載の最新版は、LINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)で読めます。

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話を伺った人

牛瀧文宏さん

うしたき・ふみひろ 理学博士(位相幾何学、算数・数学における教員研修開発)。京都産業大学理学部教授。さまざまな自治体と連携して教員研修プログラムの開発をおこなうほか、高校・数学の教科書執筆にも携わる。「ドラゴン桜2式算数力ドリル」シリーズ、「ドラゴン桜2式数学力ドリル」シリーズの監修を担当。趣味はピアノ、猫と遊ぶこと。

『ドラゴン桜2』
作者は漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したものの、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。学校理事として加わった弁護士・桜木建二が淡白な「現代っ子」たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに制作されていて、漫画を通じて実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。2018年1月から、雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。2003~07年に同誌で連載したパート1は、廃校寸前の龍山高校に通う偏差値30台の高校生が、1年で東大に合格する姿を描き、話題になった。

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