第10回 学校・教育 総合展(EDIX)

プログラミング教材、必修化目前で小学校低学年向けが充実 トレンドは「マイクラ」やロボット

2019.07.12

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相川 いずみ
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デジタル教材から「電子黒板」といった学校設備まで、教育分野の先端製品やサービスの展示がそろう日本最大のイベント「第10回学校・教育 総合展(EDIX)」が6月19~21日、東京で開催されました。学校の先生や教育委員会、塾関係者ら来場者の注目を集めていたのは「プログラミング学習」の教材や、VR(仮想現実)、AI(人工知能)などの最新技術を使った学習法、子どもを守るセキュリティーサービスなどです。EDIXで見えてきた令和の教育トレンドをご紹介していきます。

(写真はソニーのMESH(メッシュ)をつかった理科教材)

  • 2020年度からの小学校での必修化を前に、関心の高まるプログラミング教育の分野では、多彩な教材が出展
  • 今年のEDIXの特徴のひとつが、ロボットを使った「フィジカルプログラミング」教材の充実ぶり
  • プログラミング以外では、年々、増えているVR(仮想現実)を活用したデジタル教材も注目集める

多彩な教材がそろうプログラミング教育

2020年度からの小学校での必修化を前に、関心の高まるプログラミング教育の分野では、多彩な教材が出展されました。なかでも、低学年向けの教材やサービスが充実していたのが今年の特徴です。

プログラミング教材は、①パソコンやタブレット端末を使わず、カードなどで学習する「アンプラグドプログラミング」、②画面上で命令文をブロックのように組み合わせる「ビジュアルプログラミング」、③ロボットやブロックなどをプログラミングで動かす「フィジカルプログラミング」に大別されます。

アンプラグドプログラミングは、紙のカードやロボットなどを使い、プログラミング的思考を養います。最近では、論理的思考力を養うパズルゲームなども注目されています。

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世界各国のゲームなどを取り扱うCAST JAPANのブースでは、論理的思考力を養うボードゲームなどを活用した小学校指導案なども展示

アンプラグドプログラミングはパソコンを必要としないため、設備がそろっていない学校でも、小学校低学年向けに導入しやすいという利点はありますが、最終的には、これからの時代に必須となるコンピューターに触れ、その仕組みを知る機会も必要です。

ビジュアルプログラミングは、テキスト型のプログラム言語と異なり、命令がブロック型になっているため「ブロックプログラミング」とも呼ばれています。小学校低学年の児童でも簡単に取り組むことができ、日本でも30万人以上の登録ユーザーがいる「Scratch(スクラッチ)」が代表格で、EDIXでも複数のブースで展示されていました。

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ブロック型の命令を組み合わせてプログラムを作っていく「Scratch」。画面の中だけで完結せず、「レゴ」や「micro:bit」などとも互換性がある点も人気の理由

ゲームで人気の「マインクラフト」はプログラミングを学ぶ機能もあり、活用する学校が増えています。日本マイクロソフトのブースでは、無料でプログラミング学習ができる「MakeCode」というオンラインの学習ツールを出展し、「マインクラフト」や小型のマイコン「micro:bit(マイクロビット)」を使ってプログラミングできるデモの体験コーナーを設けていました。

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子どもたちに圧倒的な人気を誇る「マインクラフト」。学校向けの「Education版」は、プログラミング機能を備えており、様々な教科に活用できる
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EDIXが初披露となったソニー・グローバルエデュケーションの「PROC(プロック)」。身近な食べ物などの題材で、低学年向けにわかりやすいビジュアルプログラミングになっている

段ボール製ロボットからドローンまで

今年のEDIXの特徴のひとつが、ロボットを使ったフィジカルプログラミング教材が増えていたことです。自分の作ったプログラムによって実際のものが動くという体験は、子どもたちの達成感を高め、成功体験が得られる学習として、学校現場やプログラミング教室などにも多数取り入れられています。

たとえば、3歳から楽しめる英国発の「キュベット」は木製ロボットと命令ブロックを組み合わせ、布のマップ上でロボットを動かします。キュベットのブースには3日間で約千人が訪れ、教員向け体験会などに参加しました。

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「キュベット」は、すべてのパーツに文字が一切ないのも特徴。年齢、国籍を問わず使えるユニバーサルデザインになっている

NTTグループのブースでは、段ボール製のプログラミングロボット「embot(エムボット)」が注目を集めていました。embotは素材に段ボールを使うことで安価に導入でき、組み立てから楽しんで学べる教材として、図画工作の授業でも使われています。

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作る過程から楽しむことができる「embot」。年齢や習熟度に合わせて2種類のプログラミングモードが用意されている

他にも、シャープの「RoBoHoN(ロボホン)」、ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」、NECの「PaPeRo i(パペロ アイ)」など、手軽に挑戦できるものから本格派までそろっていました。

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ロボットらしい外観のシャープの「RoBoHoN」。二足歩行で、ダンスなどもできる

今年初めてEDIXに参加したDJI JAPANは、教育用のドローン地上走行ロボットを出展し、ブースには多くの教育関係者が詰めかけ、ドローンのデモなどを興味深く見ていました。DJIのスタッフは「全国の先生や自治体の方から『ぜひ導入したい』という声をたくさんいただきました」と話していました。

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DJI JAPANの教育用ドローン「Tello EDU」。東京都港区の小学校で行った体験授業では、子どもたちが夢中になって取り組んだという

プログラミング教室も多数出展

近年のEDIXでは、教材メーカーだけでなく、民間のプログラミング教室などのブースも増えています。プログラミング教室は今や数が多いだけでなく、その趣旨もそれぞれ異なっており、独自の方針を打ち出す教室もあります。

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学研エデュケーショナルとアーテックによる低学年向けのロボットプログラミング教室「しくみKids」。アーテックのプログラミングロボットなどを使い、楽しく遊びながら、ものの仕組みを学ぶ
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AVシステムメーカーのオーエスグループが運営する「ものづくりDr. KidsKeyアカデミー」。ものづくりをテーマに、独自教材を使って、電子回路の書き方なども学ぶ
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ホワイトハッカーの育成などを行うセキュ塾が、小・中学生向けのITエンジニア養成コース「サイバーキッズ」を開講。プログラミングだけでなく、英語やセキュリティーについても学ぶことができる
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通信教育で、実践的なプログラミングを学ぶライフイズテックの「テクノロジア魔法学校」。ディズニーのキャラクターを使った美しい演出で、大人の女性にも人気だという

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