『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

「数学アレルギー」を防ぐには? 小2の算数がポイント

2019.07.18

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桜木 建二
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数学(算数)にアレルギーを持つ人は、世代を問わず不思議なほど多いものだ。子どもが学習を進めるうえで、最初に引っかかりを覚え、つまずいてしまうのも、どうやら算数が多いようだな。これは放っておけない。そこで、算数・数学の教員への研修や講演も数多くこなす、京都産業大学理学部の牛瀧文宏教授のもとを訪ねた。算数で決して転ばない、そして、数学的思考を身につけるための方策を教えてもらうんだ!

実は苦手意識すら抱いていない小学生が多い

桜木小学生の子どもたちに、算数が苦手だという様子がやたら目立つように見えるのだが、これはなぜなのか?

牛瀧実は苦手意識すら抱いていない子どもが多いのです。小学生に顕著で、あまり危機感を持っていない子が多い。中学生になると、定期試験や模試ではっきり点数と順位がつきますが、算数をやっているうちはあまり深刻に考えなかったりします。『授業にもついていけているし、テストもクリアできているから』と、うやむやにしてしまっている。

塾などに通っていれば別ですが、学校の授業の範囲では、よくできる、できない、理解している、していない、ということが、あまり顕在化しないのです。ただ、その苦手意識のなさが、ちょっと厄介ではあります。

というのも、算数・数学は、典型的な「積み上げ型」の教科だからです。最初の単元から一つひとつ理解してしっかり使えるようにしておかないと、勉強が進むたびにつらくなってきてしまいます。

習ったことを総動員して取り組む教科

桜木前に習ったことをすべて使いながら、新しいことを学んでいくからだな。

牛瀧そうです。たとえば、 23×36  という計算をしましょうという問題があるとします。小学3年生あたりになると出される問題です。

かけ算の筆算ですが、これを解くには、『九九』を覚えていることが必要ですよね。くり上がりの計算方法も知っておかないといけない。1〜2年生のときに習うことがちゃんと運用できないと、スムーズに解けないのです。

これまでの積み上げがなかったり、あってもあやふやだったりすると、それぞれの段階でミスする確率が非常に高くなる。ミスしないまでも、各段階のことがスピーディーにできないと、解答までに時間がかかり、テストなどの制限時間内に解けないことがあります。

そうなると、もう一度足場をかため直さない限り、どんどん算数が苦手になっていく一方となってしまうのです。

ドラゴン桜
『ドラゴン桜』パート1から(C)三田紀房/コルク

「暗記」して数に慣れろ!

桜木なるほどたしかに。これはよく見かけるパターンだ。脱出法はあるのかどうか? 

牛瀧やはり最初が肝心です。小学1年生の授業内容からきっちりやらないといけません。

1年の段階で、くり上がりやくり下がりの足し算、引き算をやりますが、そのあたりはほぼ丸覚えするくらいにくり返し練習したほうがいいでしょう。

たとえば、 8+5=13 という式は、「5」を「2」と「3」に分けて、「8」と「2」を足して「10」をつくり、そこに「3」を足して答えを導くと解法を教わります。

解き方を理解するのがまずは第一歩ですが、わかるだけでは足りない。くり上がりの足し算などは、瞬時に答えを言えるくらい覚え込まなければ。

だって、われわれ大人は、 8+5 くらいの計算はほぼ答えを覚えていて、すぐに13と言えますよね。そうでないと、さらに複雑な計算をこなしていけません。

桜木なんとか正解が出せる、という程度の勉強ではいけないわけだ。

牛瀧そうです。ひとつずつ技能として習熟させるのです。そうしていけば、数に対する慣れも生まれてきて、自信も生まれます。ただの計算問題でしょう、とバカにしていてはいけません。くり返しあたって、数に慣れていくことを心がけましょう。

小2」で差がつく算数

桜木算数の積み上げにおいて、ポイントになるのは小学2年生の時期だそうだな?

牛瀧1年生はまず、学校に馴染み、勉強の進め方を覚える必要がありますが、2年生になると、各教科で本格的な学習が始まります。とくに、算数の授業は、2年時からぐっと増える。『九九』を教わるのもこの時期です。そういった計算をくり返しこなして、徹底的に慣れていくことが大切です。

桜木九九はもちろん、基本的なくり上がり、くり下がりの計算は、丸ごと暗記していくくらいの気持ちで臨むんだ。

牛瀧そうですね。いちいち頭を働かせて計算をするというよりも、暗記する感覚です。そうして、自分のなかに備わっている暗黙の知識、すなわち『数学的な暗黙知』を増やしていく。そうすると、算数・数学についての感覚がついていくことを実感できますよ。

 (ライター・山内 宏泰)

※この連載の最新版は、LINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)で読めます。

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話を伺った人

牛瀧文宏さん

うしたき・ふみひろ 理学博士(位相幾何学、算数・数学における教員研修開発)。京都産業大学理学部教授。さまざまな自治体と連携して教員研修プログラムの開発をおこなうほか、高校・数学の教科書執筆にも携わる。「ドラゴン桜2式算数力ドリル」シリーズ、「ドラゴン桜2式数学力ドリル」シリーズの監修を担当。趣味はピアノ、猫と遊ぶこと。

『ドラゴン桜2』
作者は漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したものの、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。学校理事として加わった弁護士・桜木建二が淡白な「現代っ子」たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに制作されていて、漫画を通じて実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。2018年1月から、雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。2003~07年に同誌で連載したパート1は、廃校寸前の龍山高校に通う偏差値30台の高校生が、1年で東大に合格する姿を描き、話題になった。

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