『ドラゴン桜2』桜木建二が教える 2020教育改革

読書と読んでくれる人の存在が、書く原動力になる!

2019.07.04

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桜木 建二
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書きたい文章の設計図を作り、本などを読み込み調べを尽くして、インタビューまでして、材料は出そろった。あとは文章にまとめるのみだな。ただし、文章をまとめるときも、ともすると迷子になりがちだ。ここで大事なポイントとは何だろうか。

伝えたいことを明確に、読み手を意識して

ここで肝に銘じるべきは、
「文章を書くこととは、自分以外の第三者にあなたの言いたいことを伝えることです」と、『調べてみよう、書いてみよう』(講談社)では述べられている。

だから、
「伝えたいことのない文章では相手の心に届かないのです。
書く前にもう一度、自分が一番伝えたいことが何かを確認しておきましょう」

そして、
「どんなに長い文章でも、伝えたいことは一つあればいいのです」とも説く。

そのうえで、書き進め方を次のように指南する。

・これまでに得た材料の中から、原稿に書きたい内容を選び出し、箇条書きでできるだけたくさん並べる。

・わかりやすく、盛り上がるように事柄の順序を並べ替える。その際には「ふーん、それで?」「結局はどうなったの?」など頭の中で「自分つっこみ」をするとうまくいく。

・読む人の興味を引くように、書き出しには凝ること。

ふむ、これらを踏まえれば、ずいぶん書くことがはかどりそうだな。ノンフィクションの文章を一本書き上げるころには、自分の思考力・判断力・表現力がまちがいなくレベルアップしていることに気づくはずだ。

つまりは、ゆるぎなき真の国語力が身につけられるんだぞ。

本書の最終章では、せっかく取り組み始めた「書くこと」を途中で投げ出さないために、書く原動力になるものを教えてくれている。

「何をどう書けばいいのかわからなくなったら本を読んでください。読んで読んで読みまくってください。ノンフィクションでも小説でも漫画でもなんでもかまいません。その蓄積があなたをきたえてくれるはずです」(第六章「書くことの意味って」から)

「読んでくれる人がいること––。それにまさる喜びはなく、それこそが作品を書き上げる原動力なのだと思いました」(第六章「書くことの意味って」から)とのことだ。

人は読んだから書くのだし、読んでくれる人がいると信じればこそ、書けるのだ。「読む」と「書く」は一体となって、人の知力を、いやもっと言えば人間力の基礎となってくれるんだぞ。

読んでくれる人の存在が「書く原動力」になる

読み書きの流儀を教えてくれた最相さんに、ここで改めて問いたい。音の世界、SF作家の生涯、生命科学、精神医療などなど。これほど多岐にわたるテーマを掲げて書くことを続けてきた、その原動力はいったいどこにあって、いつも何を目指して書いているのか?

いろんなテーマを扱っていると見られがちですけど、自分のなかではどれもはっきりとつながっています。いつだって、ものごとの本当はどうなのか、ということを知りたくて動いているだけなので。

なぜ人は絶対的なものを求めるのか、この世にない色を求めるのか、人の心はなぜこんなかたちかなど、似たような大きな問いが、どの作品を書くときにも根本にはある。

そう、人間はなぜ……という言葉に集約できるようなことを、いつだって探してきただけなんです。

読み書きを通して何かを知ること・学ぶことは、生涯をかけて追求するに足る行為なのだ。学校の成績や受験のためというだけじゃなく、もうすこし視野を広げて読み書き力アップに取り組むことを、心から勧めるぞ。

(ライター・山内 宏泰)

※この連載の最新版は、LINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)で読めます。

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話を伺った人

最相葉月さん

さいしょう・はづき 1963年、東京都生まれ、兵庫県育ち。関西学院大学法学部卒業。会社勤務を経て、ノンフィクションライターになる。精神医療、生命科学、教育などをテーマとしている。おもな著書に、『絶対音感』『東京大学応援部物語』『星新一』『セラピスト』(いずれも新潮文庫)、『理系という生き方 東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』(ポプラ新書)などがある。

『ドラゴン桜2』
作者は漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したものの、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。学校理事として加わった弁護士・桜木建二が淡白な「現代っ子」たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに制作されていて、漫画を通じて実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。2018年1月から、雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。2003~07年に同誌で連載したパート1は、廃校寸前の龍山高校に通う偏差値30台の高校生が、1年で東大に合格する姿を描き、話題になった。

調べてみよう、書いてみよう
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