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長文問題が消えた 全国学力テストを読み解く

2019.06.12

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関口 修司
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  • 全国学力・学習状況調査 小中とも国語から長文読解問題がなくなった
  • 実用的な文章や複数の資料を読み解き、ざっくりと文意をつかむ力が必要となる
  • 求められる資質・能力、これからの国語力は「新聞を日常的に読む」ことで身につく

これからの国語力を身につけるために

全国学テを分析すると、入試の方向性が見えてくる

今年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が418日、小学校6年生と中学校3年生を対象に行われました。入試問題とは違いますが、この問題を分析すれば大学入試改革をはじめ、これからの入試の方向性も分かります。

昨年度までは小学校、中学校ともに各教科がA問題(主に知識)とB問題(主に活用)に分かれていましたが、今回から一つになりました。実施教科は、小学校は国語と算数、中学校は国語、数学、英語でした。今回、初めて英語が入ったことで注目されましたが、ここでは、国語の問題を分析し、今後の教育や入試の方向性を探っていきます。

問題の変化、新学習指導要領を反映か

まず、昨年度の問題と変わった点です。

一つ目は、説明文や小説などの長文読解問題がなくなったことです。理由は明らかではありませんが、長文を読ませるよりも、限られた時間内でもっと読ませたい文章を出題したかったからだと考えます。その文章は「実用的な文章」です。二つ目は、新学習指導要領の趣旨が昨年度以上に強く反映されたことです。

今年度の問題の特徴は次の通りです。

第一に、課題解決(目的や役割、方向性、解決策など)を意識した問題

第二に、話し合い(会話や相互発表など)を想定した問題

第三に、自分の考えを分かりやすく伝えることを想定した問題

第四に、日本文化(弁当や畳職人、手紙、短歌など)を意識した問題

第五に、日常生活や地域社会、学校生活を想定した問題

次に、問題を解くために必要だと思われる力を挙げます。

1実用的な文章(新聞記事、広報誌、会話文、意見文、報告文など)を読み取ることができる。

2複数の資料(文章、棒グラフ、表、地図、イラスト、吹き出しなど)を総合的に読み取ることができる。この(1)(2)からは、読解力育成の教材として、文学的文章より実用的な文章、さらには非連続型テキストと言われる資料に重点が移ってきていることが分かります。物語だけを読んでいたのでは十分とは言えないのです。

3)条件に合わせた短い文章(3070字)を書くことができる。このことからは、説得力のあるコンパクトな文章表現力が必要だと分かります。

4)文章の構成や概要を捉えることができる。このことからは、一つ一つの文を正確に読むことだけでなく、ざっくりと文章全体をつかむ力が必要だと分かります。

5)文脈から推測して内容を捉えることができる。このことからは、文章の流れ(論理の展開)をもとに根拠のある想像力や思考力を働かせて、次の展開を推測できる力が必要だと分かります。

6)文章をより分かりやすくするために、加除修正することができる。このことからは、文意を正しく分かりやすく伝えるために、文章を書き直すことのできる力が必要だと分かります。

7)具体的な文を抽象的な文に、抽象的な文を具体的な文に書き換えることができる。このことからは、文章の正確な理解に基づいた多様で多面的・多角的な表現をする力が必要だと分かります。相手に正しく伝えるために様々な表現を使いこなせることが求められているのです。

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新聞に様々な文章、非連続型テキストも

以上、長々と分析・考察してきましたが、言わんとすることはシンプルです。

これから求められる資質・能力を反映した問題を解くには、「新聞を日常的に読んでいる」ことが有効だということです。新聞社に依頼された文章だから言っているわけではありません。客観的に問題を分析・考察して出した結論です。

新聞には、実用的な文章にあたる様々な文章が掲載されています。小説をはじめ、文学的文章も載っています。他にも、写真やグラフ、図や表などの非連続型テキストも載っています。見出しなどで記事の全体をざっくりとつかむこともでき、目次のようにして記事を選択しながら読むこともできます。同じ事実を様々な視点から表現し説明もしています。論理的な文章が多く、段落ごとの構成も捉えやすく書かれています。多少難しい語句も記されていますが、かえってそれが子供を伸ばします。分かる部分をつなげていけば、大体の文意も理解できます。記事を選んでコメントを書くことを繰り返していけば、短い文で表現する文章力もつくのです。

これからの国語力は、新聞を日常的に読んでいれば身につくと言っても過言ではありません。いかがでしょうか。お子さんに新聞を読ませてみては。

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