国語のチカラ ~読解力アップの教科書~

国語の偏差値、30から60に 「読解力」をつける手順(1)

2019.06.06

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南雲 ゆりか
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何か月か前に、保護者の方からこんな相談を受けました。「模試の国語の偏差値が30台となってしまった」というのです。その後、家庭学習の仕方を見直し、実践していただいたところ、2か月後に受けた模試ではなんと偏差値60台に! 短期間でここまで伸びることはめずらしく、私もおどろきました。

国語の成績が不安定で、よいときと悪いときの差が大きい――。

よく聞かれる悩みです。多少のゆらぎが生じるのは当たり前ですが、乱高下するのには理由があります。心身の不調は除外するとして、成績が大きく落ち込んだときは、ほとんどの場合、文章が理解できていなかった可能性が考えられるのです。

もちろん、例外もあります。簡単に読めてしまったがゆえに、本文の検証を怠って感覚的にゆるく解いてしまったというケースです。こうした失敗については、また別の機会にお話しするとして、「読めない」をどうやって克服するかを考えてみたいと思います。

外山滋比古先生は、既知のことがらを読むことを「α読み」と、未知のことがらを読むことを「β読み」と名付けていますが、小学生には次のような傾向があります。

知っていること、自分の体験と照合できる内容の文章であれば成績は上がり、反対に、未知のことがらが書かれた文章が出題されると成績は下がる。つまり、「α読み」ならできるけれど、「β読み」は苦手なのです。

2月になると、塾では学年が上がり、教材や模試が急に難しくなります。5段だった跳び箱がいきなり7段になるようなイメージです。今まで国語は得意だったのに、急にできなくなったとあわてる方も少なくありません。文章がやさしく「α読み」できていたのが、跳び箱7段という未知の領域になり、「β読み」しなければならなくなったため、思うように解けなくなるのです。この壁を越えるのに有効なのは「精読」です。初めに模試の得点の内訳をチェックしてみてください。言語要素や漢字は外すことにします。読解の大問ひとつ当たりの配点と得点を確認し、何%得点できているかを計算しましょう。50%未満であれば、文章がよくわからないまま解いている可能性があります。

「記述が苦手なようだ」「選択肢問題でよくまちがえる」と、「設問形式」でお子さんの得手不得手を判断される方も多いのですが、まずは出題された文章を、お子さんが理解できていたのかを確かめることが先決です。【1】もういちど文章を黙読させ【2】どんなことが書いてあったかをたずねてみましょう。そして、この黙読の様子も観察し、何分かけて読んだかも計ってみてください。

【子どもの「精読」をサポートする手順】

【1】黙読させる

授業中、生徒たちが文を読んでいる姿を見比べると、実にさまざまです。開始の合図とともにパッと集中のスイッチが入って没頭できる生徒、他人を寄せ付けないような迫力をみなぎらせ、私が近くを通っても微動だにしない生徒、なんとかがんばって読もうと指や鉛筆で1行ずつなぞりながら読む生徒もいます(これはスピードが落ちるので目で行をたどれるように練習する必要があります)。

一方、体がぶらぶら動いたり、ため息をついたりして、目が泳いでしまっている生徒、途中でスタミナ切れを起こして爪いじりや消しゴムちぎりを始める生徒も。読んでいる姿を見ていると、読むことにどれだけ熟達しているかがわかります。

大問ひとつを読むのに10分以上かかる、途中で集中力が切れる、ということであれば、文章を読む経験が足りていないということです。毎日、少し難しめの文章を、最低10分は読む練習をしてください。例えば、朝日小学生新聞のような子ども向けの新聞や、1~2学年上を対象にした本や教科書などです。「うちの子は本を読まなくて」などと言っている場合ではありません。これは学習です。

【2】内容をたずねる

黙読を終えたら内容について簡単に質問してみましょう。

物語であれば「主人公はどんな人?」「何がどうなる話?」などでいいですし、説明文なら「何という言葉がよく出てきた?」「何をいおうとしていたと思う?」など。お子さんが答えたことは否定せずに、「そうだね」「それから?」などとやりとりをしてください。些末な部分を断片的に答えたり、答えられずに詰まってしまったりするようであれば、あまりよく理解できていなかったということです。となりに座ってレッスンを開始しましょう。

(1)お子さんに数行音読させます。知らない言葉に出合うと、つかえたりイントネーションがおかしくなったりするので、その場で意味を教えます。

(2)複雑な文が出てきたら、主語と述語の対応を確認します。

(3)指示語が出てきたら、何をさしているのか考えさせます。

数行ごとに(1)~(3)のようなやりとりをして少しずつ読み進め、傍線部があれば問いを見て、そこまでの内容で解けそうであれば解き方を確かめる、ということを繰り返していきます。

登山電車がスイッチバックしながら進むように、行きつ戻りつしながら読むのです。とても時間がかかり、教える方も大変ですが、力は確実につきます。

特に、主語(主部)と述語(述部)の対応は、多くの子どもたちが意識していないため、次のような問題をやらせると、かなり間違えます。「〇〇するのは何?」などと、問いかけながら読む練習をしてください。

読解力1

冒頭にご紹介した生徒さんが取り組んだのはまさにこの方法でした。なにかと後回しになっていた国語の演習を学習スケジュールにきちんと組み入れて、お母さんといっしょに きっちりと読んでいったのです。

さらにもうひとつ、その生徒が取り組んだことがあります。読書です。長めの文を読み通すスタミナが不足気味だったので、教室の本を見繕って貸すことにしました。「合わなかったら途中でやめてもいいよ」と言いながら渡しましたが、「読めちゃった。おもしろかった」と返しに来たのです。そして毎週、「おすすめの本ありませんか?」と聞きに来るようになりました。 ちょっとした時間を見つけては没頭するように読んでいます。こうなると標準的な国語の試験では大失敗をしなくなるし、少しずつ「β読み」をする力もついてくるのです。

読解力1
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