どうする?子どもの英語教育 親の悩みに答えます

子供の英語「何歳から?」「教える自信がない…」 鳥飼玖美子さんに聞く

2019.06.04

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阿部 健祐
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英語の大学入試と学びは2020年度から大きく変わります。朝日新聞社は2~3月、18歳以下の子どもを持つ保護者に、ウェブアンケートを実施し、4568件の回答がありました。「子育てや受験、進学面での不安や悩み」を聞いた自由記述方式の回答から、「英語」というキーワードが含まれていた125件を抽出して編集部で分析したところ、 (1)何歳から学び始めればいいの (2)学校任せで本当に大丈夫? (3)教える自信がないのですが… (4)新たな英語入試の対策法は、という4つの悩みに大別できました。

子どもの英語学習をめぐる悩みに、保護者はどう向きあっていけばいいのか。前後編の2回に分けてお届けします。前編では、立教大名誉教授の鳥飼玖美子さんにうかがいました。後編では、英語の民間試験にくわしい予備校講師の森田鉄也さんに、攻略法や注意点を聞いてきました。

鳥飼 玖美子

話を伺った人

鳥飼 玖美子

立教大名誉教授

とりかい・くみこ 専門は英語教育論、言語コミュニケーション論、通訳翻訳学。「世界へ発信!SNS英語術」(NHKEテレ)に出演中。著書に「子どもの英語にどう向き合うか」(NHK出版新書)など。

(1)何歳から学び始めればいいの

英語を外国語として学び始めるのは、中学生が最も適していると思います。思考を形づくるもとになる母語の力が育って、分析的に考えられるようになるからです。

もちろん、子ども自身が英語に興味を持つようなら、幼いころから慣れ親しめばいい。子どもの方が発音をまねるのは上手です。ただし、変な発音もすぐにまねしますから要注意です。

それに母語の力が十分に育っていないので、定型的な会話や表面的なやり取りにとどまってしまう。真の意味で英語を使いこなすには、母語である日本語の力に加え、言葉を組み立て、話す相手によって表現を変えるといった総合力が欠かせないのです。

「英語学習はスタートが早いほど有利だ」という言説が飛び交っていますが、あおられる必要はありません。

子どもの英語

(2)学校任せで本当に大丈夫?

小学5、6年生が来春から使う英語の教科書を見ると、中学生レベルと言ってもいいほど高度な内容が盛り込まれています。英語教育の専門家ばかりではない小学校の先生は、どう教えるか悩んでいるのではないでしょうか。

この内容を学校ですべて教えるのは無理だし、そこまで期待しては気の毒です。では、塾や海外に行かせなければいけないのかといえば、そんなことはない。中学生になったら、また同じようなことを学ぶからです。

保護者のみなさんは焦ったり、できない子どもを責めたりせず、「大丈夫だよ。面白いところだけやろう」と励ましてください。いまでも英語嫌いになって中学に入学する子が多くいます。小学校の英語はあくまで導入。面白いと思えれば十分だと気を楽に持って、「自己効力感」(自分はできると自信を持つこと)を植えつけてあげてほしいですね。

(3)教える自信がないのですが…

おすすめしたいのは、保護者が学び直す姿勢を見せることです。絵本を音読したり、クイーンの音楽を聴いたり、子どもの前で英語に触れてください。来年から使われる5、6年生の教科書には音声が聞けるQRコードがついているので、スマホで聞いてみるのもいいですね。

子どもの質問に答えられなくても大丈夫。「辞書をひいてみよう」「詳しい人に聞いてあげるね」と言って一緒に学びましょう。そうした姿勢をみれば、子どもは自然と英語に興味を持つかもしれません。

本人がやりたい、必要だと思えば英語力は伸びる。その時に対応できる、めげない子を育てることのほうが大切です。保護者が「英語を教えなければ」と無理する必要はありません。

子どもの英語にどう向き合うか
子どもの英語にどう向き合うか
鳥飼玖美子
NHK出版
価格:886円

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