英語力を伸ばす「教えない授業」とは

2019.06.03

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阿部 健祐
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英語の大学入試と学びは2020年度から大きく変わる。保護者や子どもたちは、変化にどう向き合えばいいのか。ヒントを得ようと、東京都中野区の新渡戸文化小中学校・高校で4月上旬、英語を担当する山本崇雄教諭(49)の授業を見学した。生徒が互いに学び合う「教えない授業」で知られ、毎年100人近い英語教諭らが授業を見に来る。

山本 崇雄

話を伺った人

山本 崇雄

新渡戸文化小中高・英語教諭

やまもと・たかお 1970年生まれ。都立両国高付属中学校や都立武蔵高付属中学校を経て現職。著書に「学校に頼らなければ学力は伸びる」「『教えない授業』の始め方」など。

公園で撮った写真を英語で表現

この日、授業を受けたのは中学1年生11人。「きょうは外に出てみましょう」。山本さんは一人ひとりにタブレット端末iPad(アイパッド)を手渡し、学校から歩いて8分ほどの蚕糸(さん・し)の森公園(杉並区)へ出かけた。

生徒たちは花壇の花や池のコイなどを思い思いに撮影していく。後藤汐乃さんは「音の迫力がすごい」と、入り口付近の滝を切り取った。

iPadに顔を近づけて、写真を選ぶ後藤さん

1時間後、教室に戻った山本さんは「撮ってきたものを英語で表現してみよう」と呼びかけた。
生徒たちはiPad上のスライドに花や木の幹、葉などの写真を配置し、ネットで英単語を調べ、感じたことを日本語で添えていく。後藤さんはiPadに顔を近づけて、「water fall」と書き込んだ。

「年度の初めには毎年、屋外で授業をしています。面白いと思ったことの追求が、自ら学ぶ姿勢につながると体感してほしいからです」と山本さんは説きます。

教科書の英文をノートに書き写して和訳し、単語の意味を調べさせるという、よくあるやり方は取らない。ノートには気になったこと、分かったことを文章や絵でまとめ、自分なりの問いや意見を書き込ませる。

互いに教え合うよう促すことも多い。「知りたい、表現したいという気持ちが生まれ、自分たちで教えあって解決することで生徒の自立にもつながります」

新渡戸文化小中学校・高校で英語を教える山本崇雄教諭(右)

そんな山本さんも、以前は「教えすぎ」と指摘されたことがあるという。
2011年、英ケンブリッジ大の教育研修で授業を披露すると、「生徒にレールを敷きすぎだ」と指摘された。「子どもの好奇心を奪っていた」と反省し、試行錯誤しながらいまのスタイルを築き上げてきた。 

「自ら問いを立てて答えを探せるようになれば、定期テストや大学入試のハードルを越えることは難しくない」と話す。

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