子どもが学校に行きたくないと言ったらどうする? 親のサポートは

2019.05.13

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玉居子 泰子
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新学期が始まってしばらく続いた緊張も解け、長かったGWも終わった今、学校に行きたくない、という子が出てくる時期でもあります。その言葉には、子どもが普段言えなかった大きな不安が隠れていることも。親はどう対応すればいいのでしょうか。

東京都八王子市にある八王子市立高尾山学園は、文部科学省に指定され、2004年に開校した、小中一貫型の不登校特例校です。親のサポートについて、黒沢正明校長にアドバイスをいただきました。

(写真:体育館で活動する生徒たち=八王子市立高尾山学園、写真/小原雄輝(朝日新聞出版写真部)

話を伺った人

黒沢 正明

八王子市立高尾山学園 小学部・中学部校長

(くろさわ・まさあき)民間企業でエンジニアや企画経営業務を経て、2013年から現職。八王子市立小中学校のPTA会長を務め、青少年の健全育成に関わるなど経験も豊富。保護者や児童生徒に寄り添う指導を心がける。

個の可能性を伸ばす新しい学びの場

「学校に行きたくない子」がもつ、三つの不安とは?

「これまで数多くの不登校児を見てきましたが、学校に行きたくなくなる理由は100人いれば100通りあります。親としてはつい、『どうして行かないの?』と問いただしたくなるかもしれません。しかし、騒ぎ立てるのはNG。無理に学校に行かせようとせず、理由はどんなことが考えられるか、わが子に必要な情報は何か、気持ちに寄り添いながら、冷静にアンテナを立てるのがベストです」

黒沢校長は、不登校の傾向にある子は「初めて」「変化」「変更」の3Hが苦手な子が多いといいます。また、不登校になってしまう子どもたちや家族がかかえる不安には、いくつかの特徴があるといいます。

一つ目は、対人不安(教師や友だちとの関係が悪化している)。
二つ目は、学力不安(勉強についていけない、既存の学習が向かない)。
三つ目は、現状、将来への不安(そもそも自分の将来に希望が持てないうえに家庭環境が変わるなど、学校以外の問題も)。

「子どもにとって一番大きいのは一つ目。特に友だちとのトラブルがきっかけで、学校に行きたくなくなる子がほとんどです。

二つ目の学力不安は、“努力が足りない”ということではなく、発達の偏りや軽度の学習障害があり、支援が必要な場合も少なくありません。

また、三つ目に該当する家庭環境の変化も、子どもの行動に影響をあたえます。例えば離婚をしてシングルになったなど、親に余裕がないときは、子どもも不安定になります。必要であれば親が行政や福祉機関に支援を求めるなど、落ち着いた環境を取り戻すことも大切です」(黒沢先生)

行きたくない理由によって相談先は変わる

適応指導教室「やまゆり」
高尾山学園入学の前段階として、校内に併設された、八王子市が運営する適応指導教室「やまゆり」。学園での授業を仮体験することができる

子どもが対人関係や勉強でトラブルをかかえている場合、解決手段は少し異なります。一例ですが、次のようなステップを踏んで、適切な相談先を探しましょう。

Case1 学校で友だちとうまくいっていない場合

・まず学校の担任、主任、スクールカウンセラーに相談。
・本人のコミュニケーション力に不安がある場合は、通常の学級で教科の学習を行いながら、通級指導教室で対話方法を学ぶことも可能。
・学校対応だけでは解決しない場合、自治体が運営する適応指導教室(教育支援センター)に通う手も。カウンセリングを受ける、別の学校を探すなどの相談もできる。

Case2 勉強についていけない傾向がある場合

・教師の対応によって変われそうなら、まず担任と家庭が連携して状況把握を。
・発達障害や学習障害が懸念される場合は、市町村の保健センター、療育、医療機関等と連携を。
・朝どうしても起きられないなど睡眠障害があるケースも。医療機関等に相談。
・中には、ギフテッドと呼ばれる学習能力が非常に高い特性を持つ子も。どうしても既存の学習スタイルが合わない場合、適性を生かせる学校(不登校特例校、フリースクール、通信制学校、オルタナティブスクール等)への転校を検討しても。

「一度学校に行けなくなった子は、どんな理由であれ、居場所を失い、自己肯定感を失っています。例えば、学校に行っても保健室登校をする、マスクをつけないと行けないなどの状態になることも。でも、本人が一番『変わりたい』『なんとかしたい』と思っているはず。わが子にとって本当に幸せな場所、その子が生きいきと学べる場所はどこかを軸に、親は焦らず、子どもたちに寄り添ってあげてください」(黒沢先生)

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