ハイスクールラプソディー

伊沢拓司さん 開成高校 クイズで得た方法論を勉強にも生かした

2019.04.25

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古谷 ゆう子
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著名人に高校時代を振り返ってもらう新連載「ハイスクールラプソディー」が始まります。 第1回は、テレビのクイズ番組などでも大活躍の伊沢拓司さん。高校時代にクイズと勉強にどう打ち込んだ?親からの影響は?気になることをうかがいました。

話を伺った人

伊沢 拓司さん

「QuizKnock」代表

(いざわ・たくし)開成中学校・高等学校、東京大学経済学部卒。同大大学院農学生命科学研究科を経て、クイズ集団「QuizKnock」代表。高校時代に「全国高等学校クイズ選手権」で2連覇。著書に『勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法』(KADOKAWA)。小中学生向け月刊誌「ジュニアエラ」(朝日新聞出版)で「謎解きクイズノック」連載中。

高2の校内模試は400人中300番

――開成の中高時代、クイズ研究部で活躍されました。どのように「クイズ」と「勉強」を両立しましたか。

学校からは「勉強しろ」と言われないんですよね。中高一貫校でしたので、非常に自由奔放。特に高校1、2年生は、僕は危機感なく過ごしていました。夜中までクイズの研究をして、眠い目をこすりながら学校に行き、授業を聞いたり聞かなかったり。放課後は友達とサッカーをして、クイズをして帰り、またクイズをして寝るという毎日でした。

塾には通っていましたが、週1回くらいでしたし、成績は散々でした。校内模試でも、400人中、最初は200番ほどだったのが、高2の終わりには300番くらいまで落ちて。最初の2年間は、本当にクイズ漬けの日々でした。

僕は学校が好きで、運動会にも気合を入れましたね。準備期間は、朝7時には学校に行き、夜8時頃まで学校にいる。その期間は部活も停止になるんです。文化祭の前も同じで、ほぼ泊まり込みのような形でした。「部活と学校」のために時間を使って過ごしていたら1年が終わってしまった。部活を引退する高2の12月までは、あっという間に過ぎたという感じです。

――勉強に関しては、「受験」がより現実的になってからスイッチが入ったのでしょうか。

そうですね、これはヤバいと(笑)。部活をやめると本当にやることがなくなるので、「じゃあ、やるか」という感じだったのですが、最初は勉強のやり方すらわからないんです。なぜなら、やってきていないから。

「受験」というものは、どこまでが範囲で、何をしなければいけないのか。さらにいえば、「勉強」とはどうやってやるものなのか。高2の3月までにやっていたことのは、それらを掴むことです。なんとか勉強することへの抵抗感をなくしていく、という期間でした。

だから僕自身は、「両立」はできなかった。一点突破×2だったんですよね。「クイズの時間」「勉強の時間」、そのどちらかでした。このやり方の良いところは、努力の法則は同じということ。同じ原理で努力ができるので、クイズで得た方法論を勉強に生かすことができた。「全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ)」を攻略するときに必要だった「この番組でどんなクイズが出るのか、どのような対策をすればよいのか」といった分析は、高校生クイズを「東京大学」に置き換えても生かすことができました。

クイズで得た方法論を勉強にも生かした02
高校時代に「全国高等学校クイズ選手権」で2連覇を果たした伊沢拓司さん

でも、「両立」ができる人もいるんですよね。その人は、恐らく両方を同時にやりつつ、共通点から法則性を掴んでいけるタイプ。僕は成功から「逆算」して法則を掴みましたけど、両立タイプの人は「比較」で法則を掴む。どちらが自分に向いているのかを知るのがスタート地点なのかな、と思います。

教育に労惜しまぬ母が助けに

――高校時代に読んで影響を受けた本はありますか。

ずっとエッセーが好きで読んでいました。大槻ケンヂさんと中島らもさんの本を好んで読んでいましたね。お二人とも自由に行動しつつ深く考える方なので、そういうスタイルへの憧れはありました。お二人とも好奇心が強く、自分の知りたい分野に関しては「ムダ」かどうかを考えずに深めていくタイプなので、思考の深め方のようなものは、彼らの本を通して学びました。

人によって合う、合わないがあるのであまり本のお薦めはしたくないのですが、そのうえで「これには早く出会いたかった」と、一番後悔したのが永井均先生の『子どものための哲学対話』(講談社文庫)です。善も悪も非常に相対的なもので、「価値」というものは普遍的ではない、ということを学ばせてくれた本です。もう少し早くに読んでいれば、もっと考え方の幅が広がったのかなと思いましたね。

――ご両親はどう接してくれましたか。

母は「勉強しろ」と言うタイプではあったのですが、逆に言えば教育に対しては労を惜しまないでいてくれた。塾に関しても、情報を集め、それらを丁寧に僕の周りに揃えてくれました。僕の手の届かないところから、情報を取ってきてくれました。高3の時には、その情報のおかげで教科ごとに違う四つの塾に通っていましたね。適切な「労」だったなと思います。父はあれこれ言うことはないのですが、示唆を与えてくれるタイプだったので、僕がおかしなことを言ったときは正してくれました。

二人とも、僕が小さい頃から、子ども向けの簡単な言葉で話すこともなく、「語彙」に関しても鍛えられた。とてもありがたかったですね。

手を抜かないうえで、ある種自由にはさせてくれました。夜中の3時までクイズをしていても怒られませんでしたし。放任だけど、手は抜かない、というのはとてもバランスが難しいので、そこには感謝しています。

クイズで得た方法論を勉強にも生かした01

――高校時代の何が今につながっていますか。

うちの学校で好きだったのは、多様性を認める文化がとてもあったということ。協調性のなさに関してはある程度厳しいのですが、ルールを守ったうえでの多様性に関しては非常に寛容だった。それから、努力をしている人間の邪魔は絶対にしない、という文化もありました。

僕がよく一緒に遊んでいた友人は俳句部で、「俳句甲子園」で高2で優勝していて。僕も「全国高等学校クイズ選手権」で高1、高2で優勝していて、互いに適度にたたえ合うというか、かといって必要以上にワイワイするでもなくというか、そういう関係になることができて。「何かができる」ということに関して肯定的な文化でした。高校生の頃にそうした文化に触れられたのは、今の自分の土台ができた一番の要素かな、と思っています。

開成中学校・高等学校
1871年に創立。初代校長は元総理大臣・大蔵大臣の高橋是清。中高一貫の男子校で、東京大学の合格者数が38年連続で全国1位。「質実剛健」と「自由」を掲げ、勉強に加え、部活動や運動会、文化祭の取り組みも積極的に生徒が行うのが特徴。
【所在地】東京都荒川区西日暮里4-2-4
【URL】https://kaiseigakuen.jp/

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