AIにも負けない、哲学的子育て術とは

2019.05.09

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EduA編集部
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「急速に進化する人工知能(AI)に勝てるのは、『自ら考え、行動する』力を持つ人だけだ」と、小川仁志・山口大学国際総合科学部教授(公共哲学)は言う。自分の頭と身体、経験を総動員して物事の本質を考える習慣をつけよう、そのヒントが哲学にある、と。そこで、中学3年生の長女と小学6年生の長男の父親でもある小川さんに、自ら実践している「哲学的」勉強法を教えてもらった。

小川 仁志

話を伺った人

小川 仁志さん

おがわ・ひとし 1970年、京都府生まれ。哲学者。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。伊藤忠商事勤務、フリーター、名古屋市役所職員、徳山工業高等専門学校准教授を経て現職。近著に「AIに勝てるのは哲学だけだ」(祥伝社新書)。町の集会所やカフェに市民が集まり、本質的な問答を交わす「哲学カフェ」の進行役を10年以上務める。

哲学とは物事の本質を批判的かつ根源的に考え、言葉で表現すること。私はそう定義しています。「考える」には高度なスキルが必要です。(1)疑う(2)再構成する(3)言語化する、の3段階を踏んで考えると分かりやすいかもしれません。

この3段階を子どもに習慣づける方法として、私は次の三つを心がけています。

学校で習ったのとは違う「変な」解き方で宿題に挑戦するように促す。

例えば、国語の長文読解問題を探検地図に見立てます。そして、筆者の言いたいことを目的地に設定し、手がかり(キーワード)を探して拾い集め、ワナ(ひっかけ)にはまらないように言葉の森の中に分け入ります。そうすることで、長文を俯瞰してとらえることができるようになるのです。おまけに長文読解が楽しくなります。これは学校で教わったことを疑い、一度否定して別の視点から見る勉強法です。新しい解き方を見つけることは(2)の再構成する、につながるステップでもあります。

お手伝いに自分なりのアイデアを付け加えるように提案する。

例えば、お手伝いは面倒という子どもに、「必ずしも面倒なことではないのでは?」と疑わせてみる。そして、「作業はゲームに似ている」とか「作業の効率化を考えるのはビジネスみたい」などと、新しい視点を引き出していく。これはまさに(2)再構成の力を鍛える勉強法。何よりの「課題解決型学習」でもあります。

「そもそも何?」「なぜだろう」と本質的問いを投げかける。

思考は言語化することから始まります。子ども自身がきちんと言葉にできるように、子どもから出た言葉にあえて「そもそもそれは何?」と問いかける。例えば「Aくんにいじわるされた」と言ってきたら「いじわるって何だろう」という具合です。本質的な問いを発するのは親にとっても高度な哲学的訓練。やりすぎて子どもに言い負かされないように注意しましょう(笑)。

考えることは本来、誰にとっても楽しくて面白い遊びのようなものでした。今までの勉強は「役に立つこと」を「好き嫌い関係なく」「暗記」した結果が問われるものだったかもしれませんが、これからの学びは「役に立たない」「好き嫌い」「考える」がキーワード。本能や感情、あいまいさという人間らしさが最大の武器になります。創造的思考力を鍛えて、親も子も「AIを使う人」になりましょう。

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