国語のチカラ ~読解力アップの教科書~

中学入試「国語」で問われる5つのポイント

2019.03.28

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南雲 ゆりか
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中学入試の「国語」の問題では、どのような力が求められるのでしょう。今年の首都圏の入試問題をふまえ、5つのポイントを挙げてみたいと思います。

1. 長い文章を素早く正確に読む力

渋谷教育学園幕張中学校(以下、渋幕)<一次>の本文の字数は合計7800字程でした。この字数は特別に多いわけではありませんが、選択肢の文字数が多く、5択の選択肢ひとつが100字を超えるものもあり、問題や脚注を含めると総字数は1万2000字程になります。50~80字程度の記述式問題4問を含む16問を50分で解かなければならないので、速く読めないと歯が立ちません。

また、頌栄女子学院中学校<第1回>は総字数1万5000字あまり。経験作文を含む21問の設問を40分以内で解かなければなりません。1分で700字以上読めないと厳しくなります。文庫本1ページを500字くらいとして、それを50秒以内で読み、かつ中身も理解するくらいの読みの力が、ほとんどの学校で求められるといっていいでしょう。

2. 大人の視点で読む力

渋幕<一次>の物語文の問題(小説)は、一人暮らしの老婆が主人公。子どもに仮託してきたことに罪悪感を覚え、自らの生い立ちとも重ねて葛藤しながら、次第に心を軽くしていく、その心情を70字~80字で記述する問題が出題されています。12歳の小学生に、です。合格者平均点は54.7点でした。同校の2018年度の問題では、自身の死後、夢の中で再婚した妻をなじった主人公の「僕」が、そんな自分はエゴイストではないかと悩む心情が問われました。

3. 素早く的確に書く力

次のような条件作文を出題する学校もじわじわと増えてきています。

<例1> 意見や考えを述べる
フェリス女学院中学校では、テレビやラジオのコマーシャルソング、電車の発車メロディーなど、一部分だけを使った音楽についてのメリットとデメリットを挙げながら、自身の考えを200字以内で書かせました。

<例2> 経験を述べる
東洋英和女学院中学部<A日程>では、「日々の色合いが絵の具を並べたようにあざやかになっていった」経験をした登場人物の描写をふまえ、自身が体験した同じような経験を、そのきっかけを明確にしながら、説明させています。

漢字も適切に使い、書き言葉で筋の通った文章を書く練習は、早いうちに始めた方がよいでしょう。

4. 理解をともなった確かな知識

次の(1)と(2)は、それぞれある一字の漢字を説明したものです。それぞれが説明している漢字を組み合わせてできる熟語を答えなさい。 (1)形声文字。部首はこころ。つくりはものの姿を見るという意味を持つ。心にものの姿を見るの意味から、おもうの意味を表す。 (2)形声文字。部首はにんべん。つくりはものの姿という意味。人の姿・かたちの意味を表す。 (答 想像)

単にカタカナを漢字に変換して丸覚えをするのではなく、意味や成り立ちまで理解して身につけた確かな漢字力が求められるようになってきています。

5. 図やグラフなどの資料とテキストを照合する力

まだまだ出題数は少ないながらも、グラフや図を読み取ったり、計算したりする問題が、国語でも見られるようになってきました。市川中学校<第1回>では、サッカーとラグビーのオフサイドのルールを本文から読み取り、図と照合させる問題が出題されましたが、それなりに手のかかる問題でした=写真。

以上のように、国語の問題でも、かつてのような物語文や説明文の読み取りだけでなく、より深く幅広く学力がみられるようになってきていることが見て取れます。

中学入試「国語」で問われる5つのポイント01
2019年度 市川中学校 第1回入試問題「国語」から (答 問4 i エ ii フェアプレーの奨励や学校教育の秩序に親和性があったし、ルーツである中世の祝祭フットボールのすぐに決着をつけたくないという発想が影響したから)

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