2020教育改革

2020年度の教育改革で何が変わる? —大学入試編—

2019.03.14

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EduA編集部
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  • 「2020改革」で大学入試が変わる。共通テストでは記述式問題が導入される
  • 朝日新聞のアンケートによると、改革の内容まで知っている人は3割程度
  • 保護者からは情報が少ないことへの不安や、思考力をどうつけるか悩む声も

2020年度、大学入試を中心に教育界は大きく変わります。

文部科学省はこれまでの大学入試センター試験に代わり、2020年度から大学入学共通テストを実施すると発表しました。知識の理解を測るとともに、知識に基づいた思考力や判断力、表現力などを評価するとして、記述式問題が新たに導入されます。

マークシート式テスト

英語ではこれまでの「読む・聞く」力に加え、「話す・書く」力も問われるようになり、民間試験の成績を提出する仕組みになります。また、文科省は一般入試(一般選抜)の評価にも、志望動機や自己アピールなどを加えることを求めています。さらに、既に東大や京大も導入していて、個性や主体性をみるAO・推薦入試(総合型選抜、学校推薦型選抜)が、他の国立大にも拡大しそうです。

これに伴って小学校、中学校、高校では、入試と同じ2020年度から新しい学習指導要領が順次実施されます。文科省は、主体性やコミュニケーション能力を伸ばすため、問題解決型授業への転換を目指すと説明しています。

こうした変革を、受験生や生徒、保護者らはどう見ているのでしょうか。

改革の内容知っている「33%」

朝日新聞社は今年2月、インターネットを通じて、朝日新聞読者らを対象に「子どもの教育アンケート」を実施しました。18歳までの子どもを持つ保護者らから、4568件の回答がありました。87%は2020年度に教育改革が行われることについて知っていたものの、「ある程度内容まで知っている」と踏み込んだ人は33%にとどまりました。

自由記入欄には「入試まで2年もないのに情報が少ない」「暗記式の勉強は通用しないというが、では思考力はどうつけたらいいのか」など、様々な不安や悩みが寄せられました。

こうした質問や不安に基づき、エデュア編集部では2020年度大学入試改革のポイントをまとめてみました。

大学入学テストの試行調査で、受験生たちが静かに試験開始を待った
大学入学テストの試行調査で、受験生たちが静かに試験開始を待った=2018年11月10日午後1時7分、福岡市西区の九州大学伊都キャンパス、河合真人撮影

今回の教育アンケートでは、2020年度の改革について「見聞きしたことはある」と答えた人は53%、「内容まで知っている」と答えたのは33%でした。代表的な質問から改革の内容を考えていきます。

《大学入試がどのように変わるのか不安です》(東京・女性 51)

まず、変更点は大きく分けて3つあります。
 ①現在のマークシート式の大学センター試験に代わり、記述式問題を含む「大学入学共通テスト」(共通テスト)が導入される。
 ②英語は「読む・聞く」に、「話す・書く」を加えた4技能を評価する。
 ③高校調査書などを活用して学びの軌跡や興味・関心、主体的・協調的に学ぶ姿勢の評価を図る。

マークシート式テスト

《すべての大学で同じやり方なのでしょうか?》(同)

①~③を入試にどう採り入れるかは各大学が判断します。

②の英語の民間試験活用については、国公立大学は「原則活用」を決めましたが、北海道大と東北大などは、「公平性の問題」から20年度は活用しません。私立大学も含め、具体的な活用方法を発表していない大学も多いのが実情です。

③についても、一般選抜で調査書活用を進めるのは、準備期間が短すぎる、公平性や高校の負担増が心配、といった声が上がっています。

《英語の民間試験の受験は必須? 何度もたくさん受けるほど有利?》(岡山・男性 58)

これまでセンター試験の英語は「読む・聞く」2技能だけを測っていましたが、グローバル社会で求められるコミュニケーション能力の育成を重視し、「話す・書く」を加えた4技能を評価する仕組みに変えました。しかし、「話す・書く」試験を一斉に短時間で行うのは難しい。このため、大学入試センターが認めた民間試験の活用が決まりました。

初年度は「TOEFL iBT」や「TOEIC」、「IELTS」、「GTEC」など8種類が対象となりました。異なる民間試験の成績を比較するために「欧州言語共通参照枠(CEFR)」という尺度を使い、点数でなく段階別で評価します。

現役の受験生は高校3年の4~12月に事前に決めた民間試験(2回まで)を受け、その成績をセンターを通じて大学に提出して評価を受けます。民間試験には受検料が1回2万円を超えるものがあり、受検しにくい地域もあります。

※2019年7月、TOEICは大学入学共通テストからの離脱を発表しました。

「教育格差」を指摘する声も

《共通テストの具体的な情報が知りたい》(東京・女性 42)

「共通テスト」はどんな内容になるのか、大学入試センターが公表した2回の試行調査の問題をみると、国語を筆頭に多くの科目で文章量が増えています。契約書や学校新聞など実用的・社会的な題材を扱い、対話形式の文章や図表、写真など複数の資料を読み解く問題が出されました。

2017年に実施された第1回の試行調査では、国語の記述式問題のうち、80~120字で答える問題の完全正答率はわずか0.7%でした。数学の記述式問題は3問すべてで正答率は1割未満。約半数の受験生が無解答でした。あまり難しすぎると得点に差がつかないため、第2回調査では解答の正答率を上げる工夫がなされました。その結果は近く公表されます。

大学入試、こう変わる・下段
※上記の学習指導要領の表の一部に誤りがあり、修正のうえ正しいものを掲載しています。(2019年4月15日)

《お金をかけて教育してもらった子どもの方が、結果に結びつく気がします。塾や家庭教師もつけず、予備校にも行かず、自力で結果を出したことで評価される仕組みは作れないものでしょうか》(愛知・女性 54)

様々な社会的事象への関心やそれまでの体験を踏まえ、総合的に思考力や判断力、表現力が評価されるとして、「教育格差」を指摘する声も出ています。

15~17年のセンター試験の問題作りに携わり、今回の入試改革にも詳しい渡辺弘・鹿児島大准教授は「共通テストでは長文をすばやく読み解く力や必要な情報を見抜く力が必要で、社会的なテーマについて知識や体験があれば有利だ」としています。

対応策として、「新聞などで社会的なテーマの知識を得て、記事と関連する写真やグラフを読み解く訓練は役に立つ。英語なら、NHKのラジオ英語講座を継続して聞くこと。お金をかけずに生活の延長上でできる勉強法はある」と話しています。

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